縄文GoGo旅編 第38話 8日目⑤
小屋の近く。夕食。続き。
辺りには肉の焼けたいい匂いが漂っている。
カゼマルはテーチャのそばで、毛皮に包まれて眠っている。
シロクンヌ 「この串、アナグマの肉がパリッパリじゃないか!
旨いなあ!」
イワジイ 「胃袋とは泣かせおるのう。
このぶにゅぶにゅしたところが、官能を揺さぶって来おる!
サチには分かるかの?
まだ早いか。」
サチ 「私、分からない・・・」
テーチャ 「子供ねー!
串の食べ方だって子供っぽいもの。」
サチ 「どうやればいいの?」
テーチャ 「左手を遊ばせちゃダメよ。
そっちでも、別の串を持つの。
こうやって、両手に一本ずつ持つんだよ。」
ミツ 「こう?」
サチ 「持ったよ。」
テーチャ 「そしたら顔の前で二本の串の先っぽを向き合わせるの。
そう。ミツ、もっと口のそばに引き寄せて。
いい?ここからが大事よ。
手はこのまま! 動かしちゃダメ!
首を左右にカクッ、カクッてやって口で食らいついて行くの。
左を食べたら、すぐ右を食べる! 行くよっ!」
サチ 「キャハハハ。下品だ。」
ミツ 「こう?」
サチ 「キャハハハ。ミツも下品だ。」
テーチャ 「でもまだカクッが下手だね。」
シロクンヌ 「こうか?」
タカジョウ 「こうだぞ!」
サチ 「キャハハハ。」
こうして楽し気に食事は進んでいった・・・
串から鍋に移り、みな美味しそうにムジナ汁をすすっている。
すると、
テーチャ 「あ!そうだ! これ聞いてみよう!
ねえ誰か、カジゴって知ってる?」
イワジイ 「カジゴ? 知らんのう。」
ミツ 「知らない。サチは?」
サチ 「知らない。父さん、知ってる?」
シロクンヌ 「いや、初めて聞いた言葉だ。」
タカジョウ 「そうなのか? 驚いたぞ。みんな、知らんのか!」
イワジイ 「なんじゃい、タカジョウは、知っておるのか?」
タカジョウ 「ああ、師匠から教わってる。
テーチャ、そのカジゴがどうかしたのか?」
テーチャ 「うちの人、カジゴ作りに何度も失敗してるのよ。
タカジョウは、カジゴ焼き、出来るの?」
タカジョウ 「当たり前だろう。
カジゴ無しで、どうやって八ヶ岳で暮らすって言うんだ。
真冬の風なんてもの凄くて、焚き火などは無理な時だってあるんだぞ。
カジゴ無しでは、湯も沸かせられんではないか。
待てよ・・・
言われてみれば、おれが生まれた西の村では、カジゴは無かったな。
熾きを使っていた。」
イワジイ 「そのカジゴとは、いったい何なんじゃ?」
サチ 「炭のことを言ってるの?」
タカジョウ 「そうだ。炭とも言うらしいな。」
サチ 「炭なら知ってる。ミヤコでは使っていたよ。
でも、そう言えば、どうやって作ってたんだろう・・・
舟で運び込まれていたのは知ってるけど・・・」
ミツ 「栗のイガを蒸し焼きにして、炭にしたのを蜂追いで使うよ。」
シロクンヌ 「ああ、地バチの巣のいぶし出しに使うらしいな。」
テーチャ 「ミツの方では、蜂を食べるって聞くね。
カジゴはね、見た目は消し熾きみたいだけど、熾きの何倍も長持ちするんだよ。
あたしが住んでいた所から、東に向かっていくつも山越えすると、タダミの里に出るの。
雪の衆が暮らす里。
うちの人が、そこでカジゴをもらって来て、作り方も教わったって言っていたのに、
やってみたら全然ダメ。」
タカジョウ 「灰になっていたのだろう?」
テーチャ 「そう。3回やって、3回とも。」
イワジイ 「待て待て。 話に付いて行かれんじゃろうが。
そのカジゴとやらがどんな物なのか、もっと詳しゅう教えてくれ。」
シロクンヌ 「熾きの代わりになる物なのか?」
タカジョウ 「消し熾きとカジゴを比べた場合、まず火を点けやすいのは消し熾きだ。
だが点いてしまえば、あとはカジゴの勝ちだ。
長持ちする上に、熱い。
吹けば赤くなって、すぐに湯が沸くぞ。」
ミツ 「木から作るの?」
タカジョウ 「そうだ。その辺のブナでいい。
あの枝くらいの太さの物がカジゴ焼きには適してる。
熾きはな、木が燃えた後に出来るだろう?
熾きになるまでに、その木は炎を出し切っている。
だから木の命の、残りわずかな部分が熾きだ。」
シロクンヌ 「なるほど・・・ そういう見方も出来る訳か。」
ミツ 「カジゴは? 木を燃やさないの?」
タカジョウ 「完全には、燃やさない。
そこの加減が難しいんだ。
失敗して燃えてしまうと灰しか残らんし、
逆に塞(ふさ)ぎが早いと、ナマの木にしかならん。」
シロクンヌ 「塞ぎと言うのは?」
タカジョウ 「地面に深い穴を掘って、そこに木を詰め込んで、下から焼く。
全部に火が回ったら、小枝や青葉でふたをして、
その上から土をかぶせて埋めてしまうんだ。
そうやって塞いで、踏み固めるんだよ。」
イワジイ 「消えてしまおうが?」
タカジョウ 「消えてしまえば、失敗だ。ナマ木の出来上がりだ。」
シロクンヌ 「細かなコツがありそうだな。
ここでやって見せてくれ。」
タカジョウ 「今と言う訳にはいかん。
それに、埋めた後、次に掘り出すのは六日後だぞ。
それまで、放ったらかしにするんだ。」
シロクンヌ 「そうなのか!」
イワジイ 「そのあいだに、何かが起きるんじゃろうか?」
テーチャ 「そのあいだが待ち遠しいのよ。
あたしなんて、内緒でコッソリ掘ってやろうかって思ったもん。」
タカジョウ 「あぶない女だな。
絶対にいかんぞ。玉が潰れる。
師匠がそう言ったんだ。」
テーチャ 「タマ? あたし、無いよ。」
タカジョウ 「目玉があるだろう。」
テーチャ 「ああそうか・・・ わあ!怖い! 掘らなくて良かった!」
サチ 「そのカジゴ焼きって、一度にどれくらいの量の炭が出来るの?」
タカジョウ 「いろいろだが、その気になれば、おれの背負い袋で三つ分だ。」
ミツ 「タカジョウの袋って、私とサチがスッポリ入れそうだよ。
一度にそんなに出来るんだ。」
タカジョウ 「こうしたらどうだ?
カワセミ村の近くの山で、おれがカジゴ焼きの実演をしてやる。
シロクンヌなら大穴だろうがすぐに掘るだろうし、
木材集めだって、シロクンヌがやればあっと言う間だ。」
シロクンヌ 「おいおい、おれが一人でやるのか? まあ、いいが。」
テーチャ 「さっきだってやったじゃない。
びっくりしたわよ! ダケカンバが歩いて来たんだから。」
イワジイ 「あれはたまげたのう!
黒マイタケを抱えたまま、わしゃあ腰を抜かしそうになったぞい。」
ミツ 「暗くなってたし、私、怖くて逃げだそうとしたよ。
そしたらサチが横で飛び跳ねていたから、あ、シロクンヌだって思ったんだもん。」
サチ 「アハハ、だって父さん、凄いんだよ。
ダケカンバの倒木に駆け寄って、皮を剥ぐのかと思えば、
荷縄(にな)を掛けていきなり背負っちゃったんだよ。」
タカジョウ 「あきれるよな? ああまでして物を運ぶ男などおらんぞ。」
シロクンヌ 「テイトンポがいるけどな。
いや、後日にここを使う者が重宝するだろう? 焚き付けに持って来いだ。
おれはこの塩の道を、何と言うか、もっと便利にしたくてな。
今後は人の行き来が盛んになるはずだ。
まあそれはいいが、話の続きだ。
おれが穴を掘って、木を集めて、それから?」
タカジョウ 「おお、そうだった。
火を点けてから半日掛かりで燃やすんだ。 そして土を掛ける。
だから、ざっと丸一日あれば終わりそうじゃないか?」
テーチャ 「掘り出しはどうするの?」
タカジョウ 「それは村の衆にたくすしかない。
おれ達は立ち会えんが、それでも作り方は分かるだろう?」
テーチャ 「そうね。あたしが覚えて、うちの人に教えてあげればいいんだ。」
ミツ 「私も覚えて、アユ村の人に教えてあげる。」
タカジョウ 「そうか・・・ 村の連中は知らんでいた訳か・・・
おれはてっきり、みんなやってるとばかり思っておった。
教えてやれば良かったなあ。」
シロクンヌ 「今頃ウルシ村では、総出で消し熾き作りをしているぞ(笑)。
おれも、戻ったら教えるよ。
でもまさかそんな方法があるとはなあ。
しかし思うのだが、タカジョウの師匠は、イエの話は何ひとつしておらんようだが、
ヲシテやら中今やら、磐座もか、ボウボウもだ、
それにカジゴ焼きか・・・
ワシ使いはもちろんだが、大事な伝承は全部教えているではないか。
タカジョウは、おれなどよりも、随分といろいろと知っている。」
タカジョウ 「まったく、そうなんだよな。
この二日間、つくづくそれに気づかされたよ。
今になって、ようやくそれに気づくなんてな・・・」
縄文GoGo旅編 第37話 8日目④
山掛け小屋。夕刻。
小屋の前では大きく火が焚かれ、夕食の準備中だ。
タカジョウ 「ねぐらが最初から出来てるってのは便利この上ないな。
メシの支度に集中できる。」
テーチャ 「タカジョウ、なんか嬉しそー。
いっぱい串も打ってるし、料理が好きなの?」
タカジョウ 「そうなんだよ。山で一人暮らしだと暇を持て余すだろう。
そんな時は、いろんな料理を試してたんだ。
おい、ミツ、その木はくべてはいかんぞ。」
ミツ 「これ、何かに使うの?
割いて、薪にしようと思ってた。」
タカジョウ 「熾き焼きに丁度いい倒木があったんで、持って来たんだ。」
テーチャ 「おきやき?これでどうやるの?」
タカジョウ 「長さが一回し(70cm)で、太さが半回し(35cm)だろう。
ミツ、半分に割いてみてくれ。
芯は腐っていて、ボロボロ取れるはずだ。」
ミツは石を割って作ったクサビで、丸太を割いた。
すると中身は、虫食いやら腐食やらで、石でこすればボロボロと剥がれ落ちてくる。
タカジョウ 「よし、あとはおれがやるよ。
ここからはこうやってな、きれいに削っていくんだ。
半割きだから、似た物が二つ出来るだろう。」
サチ 「分かった!串を渡す台なんだね。
粘土を採って来る。ミツ、行こう!」
ミツ 「ああ、粘土を塗るのか!
水場の近くに粘土があったよ。」
テーチャ 「そう言う事ね!
串を立てて焼くんじゃなくて、その木に渡すように乗っけるんだね。」
タカジョウが即席で削った木。これの内側に粘土を塗る。そして、熾きを投入。
横長七輪みたいな物。点火中でも持ち運び可能。
薄くであっても粘土が塗ってあれば、熾きの火は木に燃え移らない。
テーチャ 「あ、イワジイとシロクンヌが帰って来た。
また山ほどススキとクマザサを背負ってるよ(笑)。」
タカジョウ 「あれが普通だ(笑)。
柴でも何でも、山ほど背負わんと気が済まん男だぞ。」
テーチャ 「アハハ。そうなんだ。なんだかシロクンヌらしいね(笑)。
お帰りなさい。」
イワジイ 「ふー。シロクンヌは凄いのう。
ススキ刈りのついでだと言うて、あっと言う間にウサギ2匹とウズラを1羽狩りよった。
カラミツブテの達人じゃな。」
テーチャ 「すっごーい。」
シロクンヌ 「テーチャ、ススキはこれで足りるか?」
テーチャ 「足りるに決まってるでしょ。
だって、サチとミツは蓑(みの)を持ってるんだよ?
イワジイとあたしの蓑を作るだけだから・・・
そうだ、笠も編んでおこうか。雨笠。」
ミツ 「粘土を採ってたら、サチがカブテでハトを狩ったよ。」
テーチャ 「えー!サチまでカラミツブテが出来ちゃうの?」
サチ 「父さんに教わったの。」
テーチャ 「なんかイエの人ってやっぱり凄いんだね。」
タカジョウ 「食材が増えたが、どうする?」
シロクンヌ 「おれの予想では、夜中に降り始めて、明日は終日雨だ。
たぶん明日は狩りもしづらいだろうな。
ウサギとハトは明日の分に回そうか。」
タカジョウ 「ではウズラは叩いてつくねにするぞ。
香草を混ぜてもいいな。
だがその前にシップウだ。寝かしつけて来る。
小屋の一番奥を使ってもいいだろう?」
シロクンヌ 「ああいいさ。シップウと寝るのも台風以来だ。」
テーチャ 「ねえタカジョウ、調理はまかせちゃって、あたしは蓑と笠を作っててもいい?」
タカジョウ 「ああ、戻ったらおれがさばくよ。」
シロクンヌ 「おれは明日に備えるか。火熾しで使えそうな物を探してくる。
サチ、行くぞ。
ミツはススキの穂をしごいて、小袋に詰め込んでおいてくれ。」
ミツ 「はい。火口に使うんだね。粘土も塗っておくね。」
イワジイ 「あの辺り、あやしいのう。生えとりゃあせんかな・・・」
小屋の近く。夕食。
シロクンヌはアブラチャンの枝とダケカンバの倒木を持ち帰っていた。
一度細く割いたアブラチャンの枝を再び束ね、それにダケカンバの樹皮を巻く。
そうやって作られた手火が、数ヶ所で手火立てに挟まれ燃えていた。
だから焚き火の炎だけでなく、小屋の前はそこここで明りが灯っていた。
タカジョウ 「熾き焼き台は、ここと・・・もう一個はここに置くぞ。
串物だが、ウズラの心臓と肝の串はテーチャの分だ。
血のもとになる物を摂っておいた方が良いからな。
つくねは骨も砕いて混ぜてある。
サチとミツはたっぷりと食えよ。骨が強くなる。
その横にある串はアナグマの胃袋だ。
ジイ、大好物だったろう?
芹(せり)と交互に刺してみた。セリマだ。
あのフキの葉に載ってる串は、アナグマのモモ肉。
あばらの肉は、骨しゃぶりだ。
焼けば脂がしたたるぞ。
シオユ村の塩をかければ最高だろうな。
だが骨が割れて弾けるかも知れんから、気をつけてくれよ。
ジイが採って来たブナシメジと平茸の半分には串を打った。
焦がしキノコで味わってくれ。
残りの半分と黒マイタケはムジナ汁に入れた。
ムジナ汁のダシは、ジイ持参の鮎の焦がし干しだ。
あの小ヒョウタンの大きい方はシオユ村の塩。
小さい方は、山椒の粉。
その隣は、くさみ葉(行者ニンニク)と茎わさび。
その他香草がいろいろある。好みで使ってくれ。
まあ大体、そんなとこだ。
さあ、好きに焼いて食ってくれ。」
みんなが串に飛び付いた。
熾き焼き台の使用例。くり抜いた木の内側に粘土を塗って熾きを載せる。
冬場は、火鉢として屋内で使ってもいい。
さて、ここから夕食の会話が弾むのですが、それは次回に譲るとして、ここではこの熾き焼き台について考えてみたいと思います。
まず、こういう物って、実際にあったと思いませんか?
ここで熾きを使っているのは、縄文時代に炭は無かったとされているからです。
でも私は、炭はあったかも知れないと思っているんです。
ただし縄文遺跡からは、炭焼き窯の跡は発見されていませんから、窯焼きではなく、別の方法で作られた炭ですね。
その炭焼き法については、この先の物語り中に登場させるつもりでいます。
炭についてですが、もっと言ってしまえばですね・・・
もしかすると、竪穴住居が出来た当初から、その最初から、竪穴住居の炉では、炭が使われていたのかも知れないと私は思っているのです。
私には、もともと竪穴住居とは、炭を使用するのを前提として設計された物だとしか思えないんです。
そうではあるのですが、ただここでの本題は炭の話ではありません。
粘土の方です。
私は今まで、縄文時代がいつから始まったのか、その起源についての明言は避けて来ました。
それには理由があるのですが、それがこの熾き焼き台の粘土なんです。
こういうのって、ずいぶん昔からあったんじゃないかと、私には思えるんです。
たとえば、16,500年前にもあった気がするんですよ。
旧石器人も火は焚いていたし、火を焚けば熾きも出来ます。
炎だけではなく、熾き火で肉を焼いていたかも知れません。
粘土を間に挟めば火が燃え移って行かない、その事に気づいた人だっていたと思うんです。
氷期で寒かったのですから、火鉢くらいは作っていても不思議は無いでしょう?
テントの中にだって持ち込めますからね。
それでですね、この粘土ですが、適度に焼成された可能性ってあるでしょう?
熾き火だけで縄文土器は焼かれたのかも知れない、そう言っていた陶芸家もいました。
陶芸家の吉田明氏です。
氏の縄文土器に対する見識は素晴らしく、この本は陶芸の本ですが、私が今までに読んだ縄文関係の書物の中で、私が最も影響を受けた一冊です。
土器を焼くのに炎は必要無く、熾き火や炭火の熱で十分に焼けます。
表紙の写真の、氏の右手の前に置かれた尖底土器、その中で燃えているのが熾きです。
氏は、このやり方で実際に何個も土器を焼いてみたそうです。
私も実際に、これに近いやり方で土器を焼きました。
では、熾き焼き台の粘土が焼成されたとした場合、その時の見た目って、どんな風だと思いますか?
これは、日本最古の土器片と言われている物です。
そしてもしかすると、世界最古の土器片なのかも知れません。
青森県の大平山元Ⅰ遺跡(おおだいやまもといちいせき)で出土した、16,500年前の物です。
文様は無く、無文土器であり、縁(へり)の部分は見つかっていません。
そして、これをもって、縄文時代の始まりを16,500年前だとする見方が、今の主流になっているようです。
言われる通りに、これが土器の一部であった可能性は、もちろんあります。
ただ縁が出ていないので、器であったとは断言できないとする意見もあります。
では私の意見はと言えば・・・
人類にとって、土器の発明は大きな進歩でした。
革命的な出来事だと言っても過言ではありません。
土器があるおかげで、煮炊きが容易にできるようになりました。
天然の植物が持つベータデンプンを、ヒトが消化できるアルファデンプンに変化させるには、煮炊きするのが一番です。
煮炊きによって楽にアク抜き出来る物も含めると、食べられる植物の種類が圧倒的に増えたのです。
現在、サラダとして食べる生野菜は、それ用に品種改良された物です。
天然種で生食に適した植物って、じつは意外に少ないようですね。
このように土器の存在は、人類の食料事情に大いなる躍進をもたらしました。
そしてこれらの土器片と呼ばれている物は、そんな土器発明のヒントになった物ではないかと思うのです。
つまり、これら自体は土器ではなく、何かの拍子に焼成された物。
たとえば私が言うところの熾き焼き台、それで使われた粘土が焼成されれば、これとそっくりになるかも知れません。
以上は私独自の考察ではあるのですが、絶対にこうだと言うつもりなどサラサラ無く、可能性の一つを提示したに過ぎません。
ただこういう発想って、考古学の人からはなかなか出て来ないように感じています。
それに、もしこれらが最古の土器ではなかったとしても、それで価値が薄れるとは思いません。
そもそも「最古の土器」とは、「出土した土器の中で最古の物」という意味であって、「人類が最初に発明した土器」ではないですよね。
では、人類がどうやって土器を発明したのか?
それは、大いなる謎なのです。
そしてもしかするとですね、これらこそが言ってみればひらめきの素であり、こういう物を見て、人類は土器を発明するに至ったのかも知れないでしょう?
当時の人々は、こういう焼成物を産み出す何らかの活動をしていたのです。
そういう意味で、これは超特級の資料であり、非常に重要な出土品であるのは間違いないはずです。
ですからこれらこそが、土器発明の謎を解く鍵ではないかというのが私の意見なのです。
そして私の中では、「最古の土器」よりも、「土器発明の謎を解く鍵」の方が、遥かに魅力的な存在なのですよ。
縄文GoGo旅編 第36話 8日目③
テーチャ 「わー!サチって凄いね!あんなに深く潜って行く。
テーチャはスルスルと服を脱ぎ、あっと言う間に全裸になると、
イワジイ 「なんともはや、気ままなおなごじゃ(笑)。」
シロクンヌ 「おいタカジョウ、行くぞ!」
タカジョウ 「お、おー。」
ミツとシロクンヌ、そしてタカジョウもしぶしぶ全裸になって飛び込んだ。
テーチャ 「つーかまーえた!」
タカジョウ 「こ、こら、離れろ!」
ミツ 「気持ちいいよ。
勝負に負けたため、タカジョウはテーチャの荷物を持たされていた。
曇っていても方角が分かるように書いたのだな。」
テーチャ 「あーもーやだ。月のものが来ちゃった。
タカジョウ 「自分で取れよ。って乳をやってるのか。
イワジイ 「テーチャは乳をやっておるのに、月のものが始まったのか?」
タカジョウ 「月のものか・・・
サチ 「あはは、父さんと入れ代わってる。」
作者は、縄文人とは、経血を汚辱視しない人々ではなかったかと思っている。
したがって、そこから来る女性差別も持ち合わせてはいなかったであろう。
イワジイ 「ふむ。ではそこに一列に並び、ひざまずいてこうべをたれよ。
目をつぶって詠い上げるイワジイの背後で、テーチャがカクカクした舞いを舞った。
縄文GoGo旅編 第35話 8日目②
シュリ 「もしかして・・・
先を急いでおってな。
レンザ 「いいのか?こっちから頼もうと思ってた。
シシヒコ 「レンは、気持ち良さげに毛づくろいされておるな(笑)。
あれで傷の治りも早まるのではないか?
シュリ 「うん・・・」
ホコラ 「ああ、ご馳走になった。旨かった。
タカジョウはここに戻って来る。
そなたを迎えにな。
シシヒコ 「分かっている。もともとユリサに宿を取らす気はないよ。
良かったな、ユリサ。」
そんな地の溝の存在が昔から山師の間では伝わっておっての、
索引
制作途中です。おいおい書き足していきます。
ア行
アブラギ、アブラチャン 49話
石斧の石、ネフライト 204話
石棒 8話 大ムロヤでなら薪が焚けます 第8話 初日⑧ - 縄文GoGo
犬と縄文人 9話 ウルシ村の朝 第9話 2日目① - 縄文GoGo
岩の温泉 73話
漆と縄文人 10話 ウルシ村案内 第10話 2日目② - 縄文GoGo
15話 ヌリホツマの予言 第15話 3日目② - 縄文GoGo
27話 エゴマと漆 どんぐり小屋のアコ 第27話 5日目③ - 縄文GoGo
エミヌ、オジヌ、カイヌ登場 77話
カ行
回転式離頭銛 39話
カタグラ登場 47話
ガッチン漁 36話
仮面の女神 75話
蚊遣りキノコ 16話
蚊遣りトンボ 36話 37話 43話 65話
カワウソ漁 71話 74話
鬼界カルデラ 18話 19話
キジ狩り 56話
木曲げ 39話
グリッコの作り方 5話 グリッコの作り方 第5話 初日⑤ - 縄文GoGo
杭上住居 58話
サ行
サチ登場 47話
サチの出自 68話
サメ皮 37話 39話
サラ登場 79話
サルスベリ 78話
塩渡りの説明 8話 大ムロヤでなら薪が焚けます 第8話 初日⑧ - 縄文GoGo
鹿の生け捕り 31話
鹿笛 5話 グリッコの作り方 第5話 初日⑤ - 縄文GoGo
沈んだ村の言い伝え 42話 52話 53話
沈んだ村の言い伝え② 82話 83話 84話
シップウのカモシカ狩り 171話
樹皮スッポ抜き 80話
樹皮鍋 56話
樹皮らせん剥ぎ 37話
樹皮ラッパ 167話
縄文海進 17話
縄文農耕 24話
縄文ランプ 75話 76話
シロクンヌの出自 19話 33話
神像筒型土器 42話
星座の話 167話 175話
タ行
タカジョウ登場 93話
ダケカンバ 34話
竹はあったのか? 43話
手火立て 54話
タビンドの説明 7話 大傑作水煙渦巻紋深鉢の作者 第7話 初日⑦ - 縄文GoGo
テイトンポ登場 30話
土器 16話 29話
土偶 75話
トツギの説明 7話 大傑作水煙渦巻紋深鉢の作者 第7話 初日⑦ - 縄文GoGo
ナ行
ネバネバ 37話
ハ行
ハタレ初出 46話
蜂の子取り 72話
火おこし 28話
ヒスイ海岸 203話
ヒスイの穴の開け方 205話
ヒョウタン 26話
ボウボウ 167話
ホコラ登場 93話
マ行
丸木舟の作り方 147話
ミツ登場 168話
眼木 65話 66話
ヤ行
ラ行
ワ行
縄文人と山岳信仰
縄文GoGo旅編 第34話 8日目①
カゼト 「あ!どこにあったんだ?」