旅編第21話~第30話
アオキ村の入口。 湧き水のメシ食い場から森を抜けると、アオキ村が見えた。 アオキ村は小高い丘の上にあり、丘の西側に川が流れている。 北の湖から流れ出し、南の湖に注ぐ川だ。 この川が、南の湖の水源であった。 川の水は澄んでいて、そのまま飲むことが…
南の湖の湖上。 シロクンヌ一行とマサキが筏(いかだ)に乗って移動中だ。 シップウは筏の上で大きな鯉を食べている。 マサキが仕掛けておいた筌(うけ)に入っていたのだ。 シロクンヌ 「それでイワジイはアオキ村でおれ達を待っているんだな?」 マサキ 「そう…
早朝のアヅミ野。 野営所では火が焚かれ、木の皮鍋が掛けられている。 辺りは、まだ薄暗い。 タカジョウ 「昨夜から冷え込んでいるが、やっぱり山は雪をかぶっておるな。」 サチ 「綺麗!この辺りはまだ日が差してないのに、山だけが朝日を浴びて真っ赤だ!…
ウルシ村。広場。 旗塔の立ち上げを無事に終え、まだ陽は高いが、祝いとねぎらいの宴が始まった。 広場中央の焚き火の周りでは、様々な肉が焼かれている。 イノシシの熾火焼き、鴨の丸焼き、ムササビの姿焼き・・・ などなど、焼き上がった物から各自が自由…
台風で折れる前の旗塔。その他カテゴリーの『ウルシ村 絵コンテ』参照 旗塔の建て方は、地面に横倒しで組んだ物を、手前の『送り杉』を利用して立ち上げる。 横倒しの旗塔上部に縄を何本も結び、そのいくつかを送り杉の上部の枝に掛ける。 枝を経由した縄は…
早朝の湧き水平。 オジヌ 「姉ちゃん遅いよ。遅れちゃうぞ。」 エミヌ 「ごめん。お待たせ。さあ行こう!」 カタグラ 「ゴン。しっかり番をしておれよ。」 ナクモ 「パヤパヤには、多めにエサをあげて来た。村に帰るの、久しぶり。」 ナジオ 「夜宴の日以来…
アヅミ野。岩の崖の上。 ホコラ 「野山で恐ろしい生き物と言って思い浮かべるのは・・・ オオカミの群れも恐ろしい。 熊も恐ろしい。 そうそう、シシ神も恐ろしいな。 しかし他にもおるんだぞ。分かるか?」 ミツ 「マムシ?」 サチ 「蜂も怖いよ。」 ホコラ…
アヅミ野。移動中。 もうすぐ陽が沈む。空は晴れ、東の山の上に十日の月が見えている。 シロクンヌ 「プンプン匂って来たぞ。」 ホコラ 「もう近い。 向こうに岩の崖が見えるだろう? あの上がそうだ。」 タカジョウ 「シップウはあの樹で夜を越させる事にし…
シオユ村(シシガミ村)。見張り小屋。 シュリ 「どうしたの? セジが呼びに来て、見張り小屋に行くように言われたんだけど。 ゾキは?」 レンザ 「いないよ。レンがゾキに敵意むき出しなんだ。 どれだけ言い聞かせてもダメなんだよ。 だからゾキには悪いけど…
渓流沿いのシシ神の焚き上げ場。 セジ(20歳・男) 「やっぱ台風のせいか、そんなにいないよ。 けっこう探したんだけど、2匹だけだった。」 ゾキ 「見せて。これでいいよ。」 セジ 「でも、蛭(ヒル)なんてどうするんだ?」 ゾキ 「詮索する男は嫌いだよ…