旅編第31話~第40話
小屋の近く。夕食。続き。 辺りには肉の焼けたいい匂いが漂っている。 カゼマルはテーチャのそばで、毛皮に包まれて眠っている。 シロクンヌ 「この串、アナグマの肉がパリッパリじゃないか! 旨いなあ!」イワジイ 「胃袋とは泣かせおるのう。 このぶにゅぶ…
山掛け小屋。夕刻。 小屋の前では大きく火が焚かれ、夕食の準備中だ。 タカジョウ 「ねぐらが最初から出来てるってのは便利この上ないな。 メシの支度に集中できる。」テーチャ 「タカジョウ、なんか嬉しそー。 いっぱい串も打ってるし、料理が好きなの?」…
北の湖の湖上。筏で移動中。 ミツ 「この湖、すごく深いんだね。」 タカジョウ 「スワの湖は、浅いからな。 しかし深いのに、どこまで行っても底が見える。 覗き込んで、真下を見れば底が見えるのに、横を見れば美しい山々が映っている。」 シロクンヌ 「な…
シオユ村。見張り小屋。 ユリサ 「クマザサに花が咲くと不吉だって聞いていたけど、地ネズミが湧くんだね。」 シシヒコ 「おれが子供の頃、おれが育った村での話だ。 ある日、着の身着のままの人達が何人か来て、何日か村で一緒に過ごした。 話を聞くと、そ…
北の湖に向かう川沿いの道。 シロクンヌ一行はアオキ村のムロヤで一晩ゆっくり体を休め、翌朝カワセミ村を目指して出発した。 イワジイとテーチャ、そしてカゼマルが新たに旅に加わり、キサヒコ、マサキ、カゼトが見送りに同行している。 サチとミツ、そして…
アオキ村。夕食の広場。続き。 シロクンヌ 「ヒのクンヌ・・・ヒのイエか・・・ サチ、ヒのイエとは、どんなイエなのだ?」 サチ 「私、ヒのイエの事はよく知らないの。 ミヤコにヒのイエのムロヤはあるんだけど、イエの人は居ないことが多いみたい。 中今に…
アオキ村。夕食の広場。続き。 サチ 「ねえ、この子、何て言う名前?」 テーチャ 「カゼマルよ。」 サチ 「抱っこしてもいい?」 テーチャ 「いいわよ。待ってね。」 キサヒコ 「寒いといかん。この毛皮でくるんでやれ。」 テーチャ 「そうね。カゼマル(1歳…
アオキ村。夕食の広場。 タカジョウ 「シシ腿の塩漬け、切り分けて来たぞ。おれ達の分だ。」 テーチャ 「今、摘まんでみたけど、美味しいのね! 炊事場では、みんな、美味しい美味しいって大騒ぎよ。」 タカジョウ 「そうだったな(笑)。そら、コノカミ、食べ…