第21話~第30話
河原。続き みんな、タホの名を呼んでいる。 シロクンヌはタホにまたがって、胸を押している。 相変わらず、全裸だ。 シロクンヌの服は、タホの体を包んでいる。 やがてタホが水を吐いて、意識を取り戻した。 今度こそ、全員が歓声を上げた。 ヤシム 「あり…
ハニサのムロヤ。 ハニサ 「アーンアンアンアン、アーンアンアンアン」 大泣きしている。 シロクンヌ 「・・・・・」 ハニサ 「アーンアンアンアン、シロクンヌのバカー、アンアンアン」 シロクンヌ 「ハニサ、もう泣くなよ。」 ハニサ 「アンアンアン」 シ…
夕食の広場。 子供達が走り回っている。 タホの顔も見える。 「目出たい、目出たい♪ 目出たい、目出たい♪」 クマジイとヤッホが、目出たい踊りを踊っている。 タマ 「鴨鍋があがったよー」 鍋を持ってやってきた。 ササヒコ 「タマ、そこに置いてくれ。みん…
ハニサのムロヤ。 シロクンヌはムシロの上で、木を削っている。その背中に、ハニサが寄り添っている。 ハニサ 「あたし、シロクンヌの子が産めるんだね・・・」 シロクンヌ 「なんだ、あらためて。」 ハニサ 「あたし、幸せだ。 シロクンヌがいなくなっても…
朝のいろり屋。 タマ 「雨で肌寒いだろう?オオ豆くずしの出来立てだよ。」 ハニサ 「ありがとう。あつーい!ホックホク!あったまるね。」 シロクンヌ 「フーッ、フーッ、熱っ!美味いなー!出来立ては、格別に美味いんだな。」 ハニサ 「シロクンヌは、オ…
作業小屋。 シロクンヌ 「本当だ。ハニサの言った通りだ。いろんなものが山積みになってるな。 ハニサはここで一人で居ることが多いのか?」 ハニサ 「そうだよ。あたし作業衣に着替えるね。 元々ここは男の人達の作業場だったの。弓矢を作ったり石斧を作っ…
どんぐり小屋。 アコ 「あ!シロクンヌ!」 シロクンヌ 「あ!すまん。邪魔してしまったか?」 アコ 「びっくりしただけだよ。邪魔とかじゃないよ。どうしたの?一人?」 シロクンヌ 「一人だ。」 アコ 「なにか用事だった?」 シロクンヌ 「そうではない。…
大屋根の下。 ヤッホ 「アニキ、待ってたぜ。さあ、ここに座ってくれよ。」 シロクンヌ 「ヤッホは鏃(やじり)作りか。お!意外に器用なんだな。」 子供達 「シロクンヌだー。お話聞かせてー。」 クズハ 「ちょうどよかった!シロクンヌ、服が編めたからちょ…
いろり屋。 ヤシム 「はい。熱いからヤケドしないでね。」 椀を渡した。 シロクンヌ 「ああ、いただきます。」 ヤシム 「私も横に座っていい?」 シロクンヌ 「いいが、くっつかないでくれよ。」 ヤシム 「わかってるわ。これくらいなら、いいでしょう? タ…
いろり屋。続き。 ハニサ 「居たーーー! シロクンヌ、あたし探したんだよ! 気付いたら、居ないんだもん! ホムラが鳴いてたけど、ムマヂカリが、帰ってきたんでしょう?」 シロクンヌ 「ハニサ!びしょ濡れじゃないか!」 ハニサ 「雨が降ってるからだよ。…