第51話~第60話
見晴らし広場。夜宴の続き。 アシヒコ 「ところでシロクンヌや、今後の予定は決まっておるのか?」 シロクンヌ 「子宝の湯とやらがあると聞いたのだが・・・」 アシヒコ 「ここからさほど遠くはないぞい。 人気の湯じゃから道もしっかりしておる。」 マユ(25歳…
見晴らし広場。夜宴の続き。 カタグラ 「お!その話題が出たな。 その話を始めるのは、おれが友蒸しの用意を終えてからにしてくれよ(笑)。」 ハニサ 「何かあるの?」 ソマユ 「その話題は、みんな熱くなるのよ。」 ハニサ 「そうなんだ。じゃあ待ってるね。 あ…
見晴らし広場。夜宴の続き。 カタグラ 「ハニサの手料理か! いただきます! ハフ、ハフ、旨い!」 ソマユ 「美味しい! ハニサ、後で作り方を教えて!」 ハニサ 「簡単だから、一緒に作ってみる?」 マグラ 「こりゃあ旨いな! ハニサ、もっと作ってくれよ!…
裏の温泉。 シロクンヌ達は、それぞれが手火をかざして来ていてた。 手火立てを地面に挿し、その手火立てに手火を挟ませて、かがり火にしていた。 はかなげではあったが、目が慣れてしまえば、 その三ヶ所の手火の明りと星明りだけで、周りの様子は分かるの…
アユ村の近く。下弦の月明かりの道。 シロクンヌ 「ハニサ、眠そうだが大丈夫か?」 ハニサ 「うん。」 シロクンヌ 「背負うからな。どうせまだ暗い。背中で寝ていていいぞ。」 ハニサ 「うん。」 シロクンヌ 「サチ、寒くはないか?」 サチ 「はい。」 シロ…
三人は歩いて湖に向かった。 途中、シロクンヌは道をそれ、山の斜面を駆け登った。 一度姿が見えなくなったが、すぐに戻って来た。 大きな肉芽をつけたムカゴの蔓(つる)が腰に巻かれ、 手には背丈ほどの長さの、細い枝が握られていた。 ムカゴ 歩きながら枝…
湖畔。続き。 ハニサ 「すごい!あそこって、あの色が変わってた所?子宝の湯から見た時に。」 シロクンヌ 「そうだ。湖底は、やはり砂利だった。」 ハニサ 「深いの?」 シロクンヌ 「これくらいだ。」 真っ直ぐに立ち、片手を真上に伸ばした。 ハニサ 「サ…
アユ村。 マグラ 「また随分な大荷物だな。 シジミがそんなに獲れたのか!」 シロクンヌ 「向こうじゃ鍋にできなかった。 これだけは、向こうで砂抜きしたから、 この水草といっしょにハニサに食べさせてやりたいんだ。 あとはみんなで食べてくれ。」 マグラ…
見晴らし広場。焚火のそば。 ハニサ 「シジミ、美味しかった。あの水草と合うんだね。」 シロクンヌ 「うまかったな。シジミは精が付くぞ。」 ハニサ 「そうなの?そしたらまたシロクンヌが・・・」 シロクンヌ 「おれが、何だ?」 ハニサ 「だって昨日、サ…
見晴らし広場。焚火のそば。続き。 シロクンヌ 「おれの見立てでは、この村はあっという間に沈んだんだ。」 ハニサ 「そこがあたしには、分からないの。なんでそんなふうに思うの?」 シロクンヌ 「これだけの物が出たからだよ。どれも見事な出来栄えだろう…