縄文GoGo

5000年前の中部高地の物語

91話~120話

5年ぶりの里帰り 第91話 14日目④

いろり屋 ヤッホ 「すげえスッポンだな。 カワエビとサワガニ、結構いたよ。」 タマ 「ほんとだねえ! それだけいればカリカリ焼きができるね。」 ヤッホ 「じゃあおれは、祈りの丘に行くからね。」 シオラム(41歳・男) 「ヤッホか!立派な若者になりおった…

アコ、おそるべし。 第92話 14日目⑤

サルスベリの樹。続き。 テイトンポ 「両方、一対一の勝負だ。 背中合わせとは、背中合わせになって、地面に尻をついて座る。 そして足を伸ばす。 その体勢から始める。 合図で動き出し、先に相手の両肩を地面に付けた方が勝ちだ。 背中取りは、向かい合って…

役者が出そろう 第93話 14日目⑥

サルスベリの樹。続き。 ヤシム 「アコ。ハニサが可哀そうじゃない。 ちゃんと説明してあげなよ。 シロクンヌはそんな男じゃないはずだよ。」 アコ 「そうか、ハニサ、ごめんよ。 ハニサ。シロクンヌとあたしは、今は男同士の付き合いなんだよ。 二人ともテ…

縄文人、歌を詠む 第94話 14日目⑦

広場。 ムマヂカリ 「ハニサ、その光ってるの、何とかならんのか?」 ハニサ 「まだ、自分で調整できないの。」 ムマヂカリ 「みんながホウケの顔になって、こっちを見ているぞ。」 ハニサ 「ホントだね。何でだろう。」 ムマヂカリ 「・・・・・」 大ムロヤ…

アコとタカジョウ 第95話 14日目⑧

サルスベリの樹。続き。 アコ 「知らない人もいるよね。 紹介するよ。この人は、タカジョウ。 あたしが産んだ子の、お父さん。」 カタグラ 「アコには子供がいるのか?」 アコ 「いたんだけど、病で死なせちゃったの。」 カタグラ 「そうだったのか。」 アコ…

さあ準備が整った 第96話 14日目⑨

供宴の場。 ムマヂカリ 「囲炉裏は三ヶ所。一列に丘を囲むように、10歩の距離をあける。 真ん中の囲炉裏の村側にシロクンヌの机だ。 種熾きはあそこにある。すぐに火を熾して、石を焼くぞ。」 シロクンヌ 「サルスベリの作業も、もう終わる。 そのあと希望…

明り壺の祭り 第97話 14日目⑩

祈りの丘。 ササヒコ 「ようこそウルシ村へ。 ようこそ祈りの丘へ。 もうすぐ陽が暮れる。 さあ、みんなで、この丘を埋め尽くす、囲い筒の中の漆ロウに灯をともそう。 火付け棒なら、そこにたくさん用意した。 遠方から来られた方も、おいでだろう。 火付け…

光の丘の散策 第98話 14日目⑪

祈りの丘。 ハニサ 「二人で丘を散歩しよう!」 シロクンヌ 「綺麗だなー! まずは灯りの樹の近くまで行こうか。」 マグラ 「タホって言うのか。可愛いじゃないか。おじちゃんが抱っこしてやるぞ。」 ヤシム 「すごく綺麗ね。灯りの中を歩くのって素敵。」 …

光の丘① 第99話 14日目⑫

祈りの丘。 ヤッホ 「アニキー、場所取りしたぜー。」 シロクンヌ 「ここで食うってことか?」 ヤッホ 「アニキは知らないだろうな。太鼓が鳴ったら、囲い筒は移動させてもいいんだ。 ただ、丘で食べる時は、一人御座半分、 二人で御座一枚の広さっていうこ…

光の丘② 第100話 14日目⑬

祈りの丘。続き。 アコ 「ねえ、タカジョウ、命の恩人って、どういう事なの?」 シロクンヌ 「それはおれも、気になっていた。 おれの父親が、何かをしたのか?」 ハニサ 「何の話?」 アコ 「お祭りの準備をしてる時、あたしが紹介したんだよ。 タカジョウ…

光の丘③ 第101話 14日目⑭

祈りの丘。続き。 テイトンポ 「どうする? まだ聞きたいか?」 クマジイ 「当然じゃ!」 ヤッホ 「まだ食い足りないから、供宴の場に行かないか?」 ハギ 「そうしよう。ここまで聞いて、これで終わりってのは無いな。」 ヌリホツマ 「ハタレの事も、聞きた…

光の丘④ 第102話 14日目⑮

供宴の場。続き。 アコ 「さっき、旅に出るって言ってたでしょう?行き先は?」 タカジョウ 「特に決めてはいない。 が、シップウと共にだから、行かれぬ所も多い。 シップウを見ると、カモやガン(雁)がいなくなる。 すると猟師に迷惑が掛るからな。」 ハニ…

スッポン鍋 第103話 14日目⑯

供宴の場。続き。 ササヒコ 「こんな隅っこにおったのか。探しておったのだぞ。今年の祭りは大成功だ。 クマジイ、ハニサ、シロクンヌ、テイトンポ、褒美は何がいい? タカジョウも一緒か。たくさん差し入れしてくれて、有難うな。」 タマ 「コノカミ、随分…

祭りが終わり・・・ 第104話 14日目⑰

ハニサのムロヤ。 ハニサ 「カタグラの踊り、本当に面白かったね。」 シロクンヌ 「大笑いしたな。なんであいつは、あんなに上手に尻が出せるんだろうな?」 ハニサ 「手を使ってないよね?」 シロクンヌ 「使ってないと思うぞ。すました顔で踊ってて、いつ…

第105話 15日目①

祭りの翌日。朝の広場。 シロクンヌ 「今日は祭りの後片付けがあるんだよな?」 ハニサ 「そう。でも起き出して来るのは、みんな遅いよ。 もう一泊するお客さんも多いし。」 サチ 「おはよう。昨日は楽しかったね。 お姉ちゃんと父さん、お揃いの首飾りだ。…

106話 15日目②

朝の広場。続き。 シロクンヌ 「テイトンポ、出発するのか?」 テイトンポ 「ああ、シカ村の衆はもう一泊するようだが、アコと二人で出立する。」 ハニサ 「母さんは?」 アコ 「まだ、死んだように眠ってた。」 ハニサ 「・・・・・」 シオラム 「テイトン…

107話 15日目③

供宴の場。続き。 囲炉裏のそばのシロクンヌの机の周りでは、ウルシ村の女衆がにぎやかに立ち働いている。 スサラ 「今年も天気が良くて良かったわね。」 タマ 「スサラは今日一日上機嫌だったね。 いいことあったのかい?」 スサラ 「ウフフ。」 ホコラ 「…

108話 15日目④

ハニサのムロヤ。 シロクンヌは、毛皮の上に寝転んでいる。 ハニサは、寄り添うように座っている。 ハニサ 「シロクンヌがウルシ村に来て、15日になるんだよ。 あたし、この15日間で、自分がすごく変わったのが分かる。」 シロクンヌ 「どんな所が変わっ…

109話 16日目①

朝の広場。 ヤッホ 「アニキは暗い内からやってたのかい?」 ハギ 「おれ達が供宴の場に行った時には、長い一本皿が2本、残ってるだけだったからな。」 ムマヂカリ 「おれは薄々、こうなんじゃないかと思っていたよ。 昨日のシロクンヌの様子を見ていたら。…

第110話 16日目②

飛び石。 シロクンヌ 「二人共、よく似合ってる。男っぷりを上げたぞ。」 カタグラ 「よせよ。照れるではないか。 これが自分の物だなんて、まったく夢のようだ。」 マグラ 「村で見せたら、みんながうらやましがるぞ。良い物を頂いた。」 サチ 「凄い弓だね…