91話~120話
いろり屋 ヤッホ 「すげえスッポンだな。 カワエビとサワガニ、結構いたよ。」 タマ 「ほんとだねえ! それだけいればカリカリ焼きができるね。」 ヤッホ 「じゃあおれは、祈りの丘に行くからね。」 シオラム(41歳・男) 「ヤッホか!立派な若者になりおった…
サルスベリの樹。続き。 テイトンポ 「両方、一対一の勝負だ。 背中合わせとは、背中合わせになって、地面に尻をついて座る。 そして足を伸ばす。 その体勢から始める。 合図で動き出し、先に相手の両肩を地面に付けた方が勝ちだ。 背中取りは、向かい合って…
サルスベリの樹。続き。 ヤシム 「アコ。ハニサが可哀そうじゃない。 ちゃんと説明してあげなよ。 シロクンヌはそんな男じゃないはずだよ。」 アコ 「そうか、ハニサ、ごめんよ。 ハニサ。シロクンヌとあたしは、今は男同士の付き合いなんだよ。 二人ともテ…
広場。 ムマヂカリ 「ハニサ、その光ってるの、何とかならんのか?」 ハニサ 「まだ、自分で調整できないの。」 ムマヂカリ 「みんながホウケの顔になって、こっちを見ているぞ。」 ハニサ 「ホントだね。何でだろう。」 ムマヂカリ 「・・・・・」 大ムロヤ…
サルスベリの樹。続き。 アコ 「知らない人もいるよね。 紹介するよ。この人は、タカジョウ。 あたしが産んだ子の、お父さん。」 カタグラ 「アコには子供がいるのか?」 アコ 「いたんだけど、病で死なせちゃったの。」 カタグラ 「そうだったのか。」 アコ…
供宴の場。 ムマヂカリ 「囲炉裏は三ヶ所。一列に丘を囲むように、10歩の距離をあける。 真ん中の囲炉裏の村側にシロクンヌの机だ。 種熾きはあそこにある。すぐに火を熾して、石を焼くぞ。」 シロクンヌ 「サルスベリの作業も、もう終わる。 そのあと希望…
祈りの丘。 ササヒコ 「ようこそウルシ村へ。 ようこそ祈りの丘へ。 もうすぐ陽が暮れる。 さあ、みんなで、この丘を埋め尽くす、囲い筒の中の漆ロウに灯をともそう。 火付け棒なら、そこにたくさん用意した。 遠方から来られた方も、おいでだろう。 火付け…
祈りの丘。 ハニサ 「二人で丘を散歩しよう!」 シロクンヌ 「綺麗だなー! まずは灯りの樹の近くまで行こうか。」 マグラ 「タホって言うのか。可愛いじゃないか。おじちゃんが抱っこしてやるぞ。」 ヤシム 「すごく綺麗ね。灯りの中を歩くのって素敵。」 …
祈りの丘。 ヤッホ 「アニキー、場所取りしたぜー。」 シロクンヌ 「ここで食うってことか?」 ヤッホ 「アニキは知らないだろうな。太鼓が鳴ったら、囲い筒は移動させてもいいんだ。 ただ、丘で食べる時は、一人御座半分、 二人で御座一枚の広さっていうこ…
祈りの丘。続き。 アコ 「ねえ、タカジョウ、命の恩人って、どういう事なの?」 シロクンヌ 「それはおれも、気になっていた。 おれの父親が、何かをしたのか?」 ハニサ 「何の話?」 アコ 「お祭りの準備をしてる時、あたしが紹介したんだよ。 タカジョウ…
祈りの丘。続き。 テイトンポ 「どうする? まだ聞きたいか?」 クマジイ 「当然じゃ!」 ヤッホ 「まだ食い足りないから、供宴の場に行かないか?」 ハギ 「そうしよう。ここまで聞いて、これで終わりってのは無いな。」 ヌリホツマ 「ハタレの事も、聞きた…
供宴の場。続き。 アコ 「さっき、旅に出るって言ってたでしょう?行き先は?」 タカジョウ 「特に決めてはいない。 が、シップウと共にだから、行かれぬ所も多い。 シップウを見ると、カモやガン(雁)がいなくなる。 すると猟師に迷惑が掛るからな。」 ハニ…
供宴の場。続き。 ササヒコ 「こんな隅っこにおったのか。探しておったのだぞ。今年の祭りは大成功だ。 クマジイ、ハニサ、シロクンヌ、テイトンポ、褒美は何がいい? タカジョウも一緒か。たくさん差し入れしてくれて、有難うな。」 タマ 「コノカミ、随分…
ハニサのムロヤ。 ハニサ 「カタグラの踊り、本当に面白かったね。」 シロクンヌ 「大笑いしたな。なんであいつは、あんなに上手に尻が出せるんだろうな?」 ハニサ 「手を使ってないよね?」 シロクンヌ 「使ってないと思うぞ。すました顔で踊ってて、いつ…
祭りの翌日。朝の広場。 シロクンヌ 「今日は祭りの後片付けがあるんだよな?」 ハニサ 「そう。でも起き出して来るのは、みんな遅いよ。 もう一泊するお客さんも多いし。」 サチ 「おはよう。昨日は楽しかったね。 お姉ちゃんと父さん、お揃いの首飾りだ。…
朝の広場。続き。 シロクンヌ 「テイトンポ、出発するのか?」 テイトンポ 「ああ、シカ村の衆はもう一泊するようだが、アコと二人で出立する。」 ハニサ 「母さんは?」 アコ 「まだ、死んだように眠ってた。」 ハニサ 「・・・・・」 シオラム 「テイトン…
供宴の場。続き。 囲炉裏のそばのシロクンヌの机の周りでは、ウルシ村の女衆がにぎやかに立ち働いている。 スサラ 「今年も天気が良くて良かったわね。」 タマ 「スサラは今日一日上機嫌だったね。 いいことあったのかい?」 スサラ 「ウフフ。」 ホコラ 「…
ハニサのムロヤ。 シロクンヌは、毛皮の上に寝転んでいる。 ハニサは、寄り添うように座っている。 ハニサ 「シロクンヌがウルシ村に来て、15日になるんだよ。 あたし、この15日間で、自分がすごく変わったのが分かる。」 シロクンヌ 「どんな所が変わっ…
朝の広場。 ヤッホ 「アニキは暗い内からやってたのかい?」 ハギ 「おれ達が供宴の場に行った時には、長い一本皿が2本、残ってるだけだったからな。」 ムマヂカリ 「おれは薄々、こうなんじゃないかと思っていたよ。 昨日のシロクンヌの様子を見ていたら。…
飛び石。 シロクンヌ 「二人共、よく似合ってる。男っぷりを上げたぞ。」 カタグラ 「よせよ。照れるではないか。 これが自分の物だなんて、まったく夢のようだ。」 マグラ 「村で見せたら、みんながうらやましがるぞ。良い物を頂いた。」 サチ 「凄い弓だね…