縄文GoGo

5000年前の中部高地の物語

ハギ受難の予感           第23話 4日目④

 

 

 

          夕食の広場。

 
    子供達が走り回っている。 タホの顔も見える。
    「目出たい、目出たい♪ 目出たい、目出たい♪」 
    クマジイとヤッホが、目出たい踊りを踊っている。
 
タマ  「鴨鍋があがったよー」 鍋を持ってやってきた。
ササヒコ  「タマ、そこに置いてくれ。みんな聞いてくれ!
       今日はタホが命拾いをした目出たい日だ。
       わしの孫ではあるが、子供は村の宝だ。その宝を救ってくれた英雄がここにおる。
       シロクンヌと、シロクンヌのもとに駆け付けたハニサだ。
       二人は今夜の主役だ。
       シロクンヌは旅のお方だが、今日の出来事は、代々この村の語り草になろう。
       栗実酒をふるまうぞ。 みんな、楽しくすごしてくれ!」
 
    大歓声があがり、夜の宴(うたげ)が始まった。
 
ヤシム  「はい、シロクンヌ、取ってあげたよ。」   
ハニサ  「はい、あー!」
  
    シロクンヌを挟んで座っているハニサとヤシム。 
    ほぼ同時に椀を差し出した。
 
ヤシム  「私の方が早かったもーん。」
ハニサ  「いいもーん。あたし、後からで平気だもーん。」
 
ハギ  「あの崖を渡ったって、本当か?」
アコ  「本当だよ。あたしだけが見たんだ。かっこよかったんだよ!」
 
ヤッホ  「ヤシム、そこどいてくれ、アニキの隣はおれだ。」
ヤシム  「何だい、アニキって。いやだよ。どかない。」
ヤッホ  「大体、ヤシムが目を離したから、タホが落ちたんだろ?」
ヤシム  「あっという間だったんだよ。一人で跳んでいっちゃったんだ。
      これからは気をつけるよ。」
ヤッホ  「わかった。じゃあどいてくれ。」
ヤシム  「いやだよ。それとこれとは別だよ。」
 
ハギ  「あの二人、たまに口きくと、いつもああだな(笑)」
アコ  「大体、ヤッホが負けてるね。」
 
シロクン  「ハニサ、熾きをここに持ってきて、この場で友蒸し、できないかな?」
ハニサ  「できるよ! 作る?」
シロクン  「頼む。 おれはあの、蒸してる時の匂いも好きなんだ。」
ハニサ  「わかった。 待ってて。」
ヤシム  「ヤッホ、早くあっちに行ってよ。」
ヤッホ  「ベロベロベー」
 
アコ  「めずらしく、ヤッホがネバッてるよ。」
ハギ  「うん、いい働きしてる(笑)。」
クマジイ  「アコや、あそこの三角関係、今日からか?」
アコ  「そうだよ。 あたしも加わりたいんだけど、まあやめとくよ。」
クマジイ  「アコまで惚れおったのか。」
アコ  「・・・・・」
クマジイ  「ハギ、こりゃ、ほんものじゃぞい。」
ハギ  「そうみたいだな。 アコ、おれが伝えてやろうか?」
アコ  「うるさいね!ほっといてくれよ!」
 
ヤッホ  「あ目出たい目出たい♪ あ目出たい目出たい♪」
ヤシム  「目の前で踊るんじゃないよ!」
ハニサ  「火にかけるね。」
シロクン  「少ないな。 みんなの分は?」
ハニサ  「あそこでタマがやってる。」
シロクン  「そうか。お、いい匂いがしてきたぞ。」
ハニサ  「こっちのはね、寝かしの効いた栗実酒なの。」
ヤッホ  「あ目出たい目出たい♪ あ目出たい目出たい♪」 タホが踊りに加わってる。
ヤシム  「・・・・・」
 
クマジイ  「ほいアコ、気付けじゃ、グイッとやらんかい!」
アコ  「もらっとくよ」  グイッとやった。
クマジイ  「いい飲みっぷりだ。 ほい、もう一杯いけい。」
 
ハニサ  「出来た!食べよう、シロクンヌ。」
シロクン  「うまそうだ! 熱い! ホクホクだ! 
        栗が甘い! ハニサの友蒸しは最高だな!
        お、けりが着いたみたいだな。」
ヤッホ  「アニキ、お流れを。 タホ、この方が命の恩人だぞ。 覚えておけ。」
ハニサ  「ヤッホも食べる? タホにはお姉ちゃんがフーフーしてあげるね。」
ヤッホ  「お、おれにもフーフーしてくれ。」
タホ  「お姉ちゃん、工ッチなお話、聞かせて~」
 
クマジイ  「ヤシムもいける口じゃろが、グイッと空けてしまえ!」
ヤシム  「ヤッホの野郎、底力だしやがって。」 グイッと空けた。
アコ  「ハギ、わかるかい、崖を渡る姿が目に焼き付いてるんだよ!クマジイ!こっちにも!」
ハギ  「わかった!わかったから手を離せ!苦しいだろ!」
ヤシム  「ハギ!聞いてる?私は本気なの。本気で好きになったの!いけない?
      クマジイ、もう一杯ちょうだい!」
ハギ  「いけなくないぞ。がんばれ。 さて、おれはそろそろ・・・」
クマジイ  「ハギ、手え出してみい。よいか、落とすことは、ならんぞ! ほいっ!
       目出たい、目出たい♪ ほいほいほいほい♪ 目出たい、目出たい♪ ほいほい・・・」
 
    ハギに酒ガメを投げ渡すと、踊りながらクマジイが逃げて行った。
 
 
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登場人物 シロクン 28歳 タビンド 特産物を遠方の村々に運ぶ   ササヒコ 43歳 ウルシ村のリーダー  ムマヂカリ 26歳 ヒゲの大男   ヤッホ 22歳 ササヒコの息子   ハギ 24歳 ヤスが得意  タホ 4歳 ヤッホとヤシムの息子 ヤシムと暮らしている  クマジイ 63歳 長老だが・・・   クズハ 39歳 ハギとハニサの母親   タマ 35歳 料理長  アコ 20歳 男勝り   ヤシム 24歳 タホの母親  ハニサ 17歳 土器作りの名人 シロクンヌの宿   ヌリホツマ 55歳 漆塗り名人 巫女  ホムラ 犬 ムマヂカリが可愛がっている

      

用語説明 ムロヤ=竪穴住居  大ムロヤ=大型竪穴建物  カミ=村のリーダー  コノカミ=この村のリーダー           グリッコ=どんぐりクッキー  黒切り=黒曜石  神坐=石棒(男性器を模した磨製石器)                 塩渡り=海辺の村が作った塩を、山の村に運ぶ塩街道があった。ウルシ村から東にシカ村→アマゴ村・・・七つ目がシオ村  トコヨクニ=日本