縄文GoGo

5000年前の中部高地の物語

第187話 34日目③

 
 
 
          夕食の広場。続き。
 
シロクン  「温泉は、どうだった?」
イナ  「とっても楽しかったわよ。
     でも、コノカミ、狩りはまだ無理ね。弓を引くと傷むみたい。
     しばらくは、作業小屋か工房で、矢作りをすると言っていたわ。
     背中にもアザがあるの。」
ヌリホツマ  「打ち身の塗り薬を進ぜよう。背中は、イナが塗ってやるがよい。」
イナ  「ほんと! ありがとう。
     ねえクンヌ、クンヌが居る間、あたしコノカミのムロヤに行ってもいい?」
シロクン  「是非、そうしてくれ!
        乳を吸わされたり、殴られたり、夜中に叩き起こされたりしなくてすむからな。」
ハニサ  「アハハハハ。」
イナ  「何言ってるの。嬉しい癖に。」
シロクン  「嬉しいはずが無いだろう。」
ヤッホ  「アニキ、報告が遅れたけど、今日洞窟に、カザヤも来たんだ。
      それで、ミツのお父さんのタガオが、ウルシ村に来たがっているそうだよ。
      出来れば長く居て、イナがやった様な事が出来る様になりたいらしい。
      いつでも出られるから、アニキの都合がついたら、迎えに来て欲しいって言ってたよ。」
イナ  「その事は、コノカミにも話したの。
     ちょっとコノカミを呼んで来るわね。」
ハニサ  「サチ、よかったね。」
サチ  「はい!」
 
クズハ  「また私の勝ちよ。」
テイトンポ  「しまった! やっぱりあそこで4連を許したのが敗因だな!」
クズハ  「防御が手薄いのよ。」
アコ  「イケイケだからね。」
テイトンポ  「作戦を練り直した方がいいかも知れんな。」
オジヌ  「次は、おれとアコね。今度は勝ってみせるよ。」
アコ  「そうは行かないよ。連敗させてやる。」
テイトンポ  「やっぱりアコはそこから行くんだなあ。」
シオラム  「アコ独特の戦法だよな。」
クマジイ  「何じゃいそりゃあ?」
クズハ  「飛び越しと言って、サチのお友達のミツが考えた遊びよ。
      先にドングリを移動させた方が勝ちなの。面白いのよ。」
カイヌ  「どうやってやるの?」
テイトンポ  「よし待ってろ。粘土版をもう一組持って来てやる。」
クズハ  「ドングリも忘れないでね。」
 
ササヒコ  「シロクンヌは、いつ迎えに行けるのだ?」
シロクン  「おれはいつでもいいのだが、一応、行く日を伝えた方が良くはないかな・・・」
ハギ  「それなら、明日、おれが洞窟に伝えるから、洞窟からはナジオがアユ村に伝えるよ。
     つまり明日の夕方には、アユ村に伝わる。
     だから、あさってに行けばいい。」
ヤシム  「ナジオはその後、どうするの?」
ハギ  「アユ村に泊まるんだよな?」
ヤッホ  「うん。カザヤのムロヤに泊まる。
      湖で、泳ぎ比べする約束をしてたから。」
ヤシム  「ナジオって、こっちに来て、なんやかんやと楽しんでるわね。」
ハギ  「あいつ、当分、帰らないんじゃないかな(笑)。」
サラ  「雪滑りがしたいって言ってたよ。」
シロクン  「ハハハ、では、あさってにするか。」
サチ  「あさっての夕方会えるんだ。」
ササヒコ  「サチは嬉しそうだな。サチに、同じ年頃の友達が出来たのか。
       やはり、交流とは良いものだな。
       それで住まいだがな、最初は大ムロヤになるが、
       ミヤコの件もあるし、今はちょうど伐り旬だ。
       樹木を伐るには一番いい時期だ。
       この際、ムロヤを5棟ほど建てようかと思っておる。
       場所は、うるし小屋と作業小屋の間だ。
       サルスベリの樹を移設して広くなったからな。
       イナから話を聞いて、さっき改めて見たのだが、
       樹を3本取り除けば、十分な広さが取れる。」
ヌリホツマ  「なるほどのう。あそこならいいじゃろう。明日、地の祓いをしようかの。」
ハギ  「あそこまでは、掘っても水は湧かないだろうね。あの下はだめだ。」
ササヒコ  「そこでシロクンヌに頼みなのだが、そこの造成を手伝ってもらえんか?」
シロクン  「ああいいよ。増築の方は、明日、骨組みが完成するから。
        あさって、迎えに行くだろう・・・
        そのあとに、先に樹をこいでしまうか。」
ササヒコ  「すまんな。そうなると斧石がもっと欲しいか。ヤッホ・・・」
ヤッホ  「分かった。おれが明日、河原で作っておくよ。
      それからタカジョウが、明日、カラス山を見に行くそうだよ。」
ハギ  「イナがあっという間に片付けたんだってな。」
 
 
 
登場人物 シロクン 28歳 タビンド 特産物を遠方の村々に運ぶ シロのイエのクンヌ  ササヒコ 43歳 ウルシ村のリーダー  ムマヂカリ 26歳 ヒゲの大男   ヤッホ 22歳 ササヒコの息子   ハギ 24歳 ヤスが得意  タホ 4歳 ヤッホとヤシムの息子 ヤシムと暮らしている  タヂカリ 6歳 ムマヂカリとスサラの息子  クマジイ 63歳 長老だが・・・  テイトンポ 40歳 シロクンヌの師匠 その道の達人   クズハ 39歳 ハギとハニサの母親   タマ 35歳 料理長  アコ 20歳 男勝り テイトンポに弟子入り   ヤシム 24歳 タホの母親  ハニサ 17歳 土器作りの名人 シロクンヌの宿   スサラ 25歳 ムマヂカリの奥さん  ヌリホツマ 55歳 漆塗り名人 巫女  ホムラ 犬 ムマヂカリが可愛がっている

      

追加アシヒコ 56歳 アユ村のリーダー  マグラ 27歳 アユ村の若者  カタグラ 24歳 マグラの弟  フクホ 50歳 アシヒコの奥さん  マユ 25歳 アユ村の娘  ソマユ  19歳 マユの妹  サチ 12歳 孤児 シロクンヌの娘となる アヤクンヌ      エミヌ 18歳  オジヌ 16歳 エミヌの弟  カイヌ 14歳 オジヌの弟    モリヒコ シカ村のカミ  サラ 17歳 スサラの妹 ハギとトツギとなる ヌリホツマの弟子  ナクモ 18歳 エミヌの友人  シオラム 41歳 ササヒコのすぐ下の弟 塩作りの加勢のためシオ村で暮らす 5年に一度、里帰りする  ナジオ 20歳 シオラムの息子 シオ村生まれ  タカジョウ 23歳 ワシ使い  ホコラ 洞窟暮らし 哲人  シップ オオイヌワシ タカジョウが飼っている  エニ 38歳 エミヌ姉弟の母   カヤ アマカミの使者  シラク 北のミヤコのシロのムロヤの責任者  マシベ フジのシロの里の者 ヲウミのシロの村との連絡係り  トモ フジのシロの里の者  イナ 30歳 シロクンヌの姉弟子 杖の達人  コヨウ 15歳 タカジョウの妹  ゴン 洞窟で飼われている仔犬  ミツ 11歳 アユ村の少女  カザヤ 24歳 アユ村の若者 カタグラの友人  テミユ 22歳 カザヤの妹  タガオ 32歳 ミツの父親 目がみえない

   

用語説明 ムロヤ=竪穴住居  大ムロヤ=大型竪穴建物  カミ=村のリーダー  コノカミ=この村のリーダー           グリッコ=どんぐりクッキー  黒切り=黒曜石  神坐=石棒(男性器を模した磨製石器)  塩渡り=海辺の村が作った塩を山の村に運ぶ塩街道があった。ウルシ村から東にシカ村→アマゴ村・・・七つ目がシオ村  御山=おやま。ウルシ村の広場から見える、高大な山々  コタチ山=御山連峰最高峰  トコヨクニ=日本  蚊遣りトンボ=虫除けオニヤンマ ここではオニヤンマの遺骸に竹ひごを刺し、竹ひごをヘアバンドで頭部に固定する  トツギ=一夫一婦の結婚  眼木=めぎ 眼鏡フレーム 曲げ木工房で作っている  クンヌ=イエの頭領  吊り寝=ハンモック  一本皿=長い丸太を半分に割いて作ったテーブル。一本の木から2本取れるが、一本皿と呼ばれている。  一回し=長さの単位 70㎝  半回し=35㎝ 縄文尺とも呼ばれる。  カラミツブテ・カブテ=狩りの道具。コブシ大の二つの石を紐でつなげた物。  ボウボウ=樹皮ラッパ 法螺貝よりも高い音が出る。