縄文GoGo

5000年前の中部高地の物語

第188話 34日目④

 

 

 

          大ムロヤ。魂写しの儀。

 
アコ  「前の時よりも、粘土の量が多いね。」
ハニサ  「念のため、あたしの時よりも少し多くした。」
ヤシム  「人も増えたから、これくらいはあった方がいいわよ。
      タヂカリ、タホと遊んであげてね。」
タヂカリ  「タホ、あっちで遊ぼう。」
イナ  「テイトンポは来ないの?」
アコ  「ムロヤでクズハと飛び越しをやるって言ってた。」
シロクン  「きっとアコが色々構われるのを、見ていたく無いんだよ。
        サチ、外でカブテの練習をしてきていいぞ。」
サチ  「はい。」
ハニサ  「あたしの時よりも、参加者が多いね。」
アコ  「あたしは人気者だからね。
     なーんて、嘘だよ。スサラとかヤシムとか、証人としてあたしが頼んで来てもらったの。
     エミヌが居るからね。」
エミヌ  「前回出た質問と同じ内容の質問には、答えなくていいの。
      その証人の事を言ってるんだと思う。私、前回、出て無いからなー。
      順番に質問して行くでしょう?
      知らずに前回と同じ質問をしたとしても、それで、その人の番は終わりなの。」
イナ  「へー、色々、取り決めが有るのね。」
ハニサ  「シオラムは?」
アコ  「クズハのムロヤ。他にクマジイとオジヌとカイヌもいるはず。
     飛び越し大会をやってると思うよ。」
イナ  「さっきから言ってる、飛び越しって、何なの?」
ハニサ  「ミツが考えた遊び。粘土版ならここにも3組あるよ。
      アコが結構強いの。」
ムマヂカリ  「これがそうか?どうやって遊ぶのだ?」
ハニサ  「ドングリで遊ぶの。」
ムマヂカリ  「ドングリは?」
 
シロクン  「サチ、悪いがドングリ拾いを手伝ってくれ。この辺に拾い残しがあるはずだ。
        サチなら、すぐ見つけられるだろう?」
サチ  「飛び越し、やるの?」
 
イナ  「そこに来るのを待ってたのよ。いくわよ。」
エミヌ  「あー! しまった!」
シロクン  「ハハハ、今のはエミヌの大失敗だぞ。」
ハニサ  「そんなとこまで行けるんだね。」
サチ  「あれ? でも・・・」
アコ  「エミヌ、よく見ろ。いい手があるぞ。」
エミヌ  「えー? 待ってよー、これでー、今こうなったからー・・・
      分かった!こっちか!これだね!こうだ!」
イナ  「キャー!切り返された!」
シロクン  「おお、そんな手があったか。行って来いだな。」
 
スサラ  「なるほど、サラはそう来る訳ね。
      こういう時って、こっちの方から動かせばいいのかしら?
      やっぱりダメね。こっちはダメ。」
サラ  「お姉ちゃん、遅い。もっと早くやってよ。」
スサラ  「こうやりたいんだけど、これって反則よね?」
ムマヂカリ  「ハニサ、ちょっと教えてくれ。」
 
ヤシム  「ヤッホ、かたき討ちするからね。」
ハギ  「はっはっは。返り討ちにしてやる。」
ヤッホ  「4連が気になって失敗した! ヤシム、頼むよ。ハギをやっつけてくれ。」
 
シオラム  「お! こっちでもやっておるな! 盛り上がってるじゃないか。連中も呼んでくるか。」
アコ  「呼んで来てよ。あと、いろり屋に夜食があったらもらって来て。
     ヤシム、タホもタヂカリも眠そうだよ。」
ヤッホ  「よく遊んだな。寝床を敷いてやるから待ってなよ。」
 
クズハ  「キジの炙り串と百合根のクルミあえ、ウサギのパリパリ焼き。
      ここに置くわよー。」
エミヌ  「クルミあえだ。私、大好きなの。少しもらうね。」
サラ  「私もクルミあえ、もらおう。」
 
テイトンポ  「サチは大胆な手を放つよな。」
クマジイ  「誘いを掛けておるんじゃろう。」
ササヒコ  「4連を狙っておるんだろう? そうはいかん、よし! ならば、こう行けば?」
サチ  「いい? やるね。」
ササヒコ  「あ! アイタタター!」
イナ  「コノカミ! がんばって!」
 
タマ  「来たね、来ると思ったよ。それならば・・・」
ハギ  「うお! タマ強いな。」
ムマヂカリ  「思いもよらぬ方向から来たな。」
ハニサ  「兄さん、がんばって!」
 
オジヌ  「アコ、もう一回勝負してよ。アコは、この棒で指せばいいからさ。」
カイヌ  「僕がアコの代わりに、ドングリを動かすよ。」
アコ  「よし! じゃあ、その棒をこっちに投げて。」
イナ  「ねえ、質問大会ってどうなったの?」
アコ  「どっかに飛んじゃったね(笑)。」
 
 
 
登場人物 シロクン 28歳 タビンド 特産物を遠方の村々に運ぶ シロのイエのクンヌ  ササヒコ 43歳 ウルシ村のリーダー  ムマヂカリ 26歳 ヒゲの大男   ヤッホ 22歳 ササヒコの息子   ハギ 24歳 ヤスが得意  タホ 4歳 ヤッホとヤシムの息子 ヤシムと暮らしている  タヂカリ 6歳 ムマヂカリとスサラの息子  クマジイ 63歳 長老だが・・・  テイトンポ 40歳 シロクンヌの師匠 その道の達人   クズハ 39歳 ハギとハニサの母親   タマ 35歳 料理長  アコ 20歳 男勝り テイトンポに弟子入り   ヤシム 24歳 タホの母親  ハニサ 17歳 土器作りの名人 シロクンヌの宿   スサラ 25歳 ムマヂカリの奥さん  ヌリホツマ 55歳 漆塗り名人 巫女  ホムラ 犬 ムマヂカリが可愛がっている

      

追加アシヒコ 56歳 アユ村のリーダー  マグラ 27歳 アユ村の若者  カタグラ 24歳 マグラの弟  フクホ 50歳 アシヒコの奥さん  マユ 25歳 アユ村の娘  ソマユ  19歳 マユの妹  サチ 12歳 孤児 シロクンヌの娘となる アヤクンヌ      エミヌ 18歳  オジヌ 16歳 エミヌの弟  カイヌ 14歳 オジヌの弟    モリヒコ シカ村のカミ  サラ 17歳 スサラの妹 ハギとトツギとなる ヌリホツマの弟子  ナクモ 18歳 エミヌの友人  シオラム 41歳 ササヒコのすぐ下の弟 塩作りの加勢のためシオ村で暮らす 5年に一度、里帰りする  ナジオ 20歳 シオラムの息子 シオ村生まれ  タカジョウ 23歳 ワシ使い  ホコラ 洞窟暮らし 哲人  シップ オオイヌワシ タカジョウが飼っている  エニ 38歳 エミヌ姉弟の母   カヤ アマカミの使者  シラク 北のミヤコのシロのムロヤの責任者  マシベ フジのシロの里の者 ヲウミのシロの村との連絡係り  トモ フジのシロの里の者  イナ 30歳 シロクンヌの姉弟子 杖の達人  コヨウ 15歳 タカジョウの妹  ゴン 洞窟で飼われている仔犬  ミツ 11歳 アユ村の少女  カザヤ 24歳 アユ村の若者 カタグラの友人  テミユ 22歳 カザヤの妹  タガオ 32歳 ミツの父親 目がみえない

   

用語説明 ムロヤ=竪穴住居  大ムロヤ=大型竪穴建物  カミ=村のリーダー  コノカミ=この村のリーダー           グリッコ=どんぐりクッキー  黒切り=黒曜石  神坐=石棒(男性器を模した磨製石器)  塩渡り=海辺の村が作った塩を山の村に運ぶ塩街道があった。ウルシ村から東にシカ村→アマゴ村・・・七つ目がシオ村  御山=おやま。ウルシ村の広場から見える、高大な山々  コタチ山=御山連峰最高峰  トコヨクニ=日本  蚊遣りトンボ=虫除けオニヤンマ ここではオニヤンマの遺骸に竹ひごを刺し、竹ひごをヘアバンドで頭部に固定する  トツギ=一夫一婦の結婚  眼木=めぎ 眼鏡フレーム 曲げ木工房で作っている  クンヌ=イエの頭領  吊り寝=ハンモック  一本皿=長い丸太を半分に割いて作ったテーブル。一本の木から2本取れるが、一本皿と呼ばれている。  一回し=長さの単位 70㎝  半回し=35㎝ 縄文尺とも呼ばれる。  カラミツブテ・カブテ=狩りの道具。コブシ大の二つの石を紐でつなげた物。  ボウボウ=樹皮ラッパ 法螺貝よりも高い音が出る。