縄文GoGo

5000年前の中部高地の物語

縄文GoGo旅編 第22話 5日目③

 
 
 
          シオユ村(シシガミ村)。見張り小屋。
 
シュリ  「どうしたの?
      セジが呼びに来て、見張り小屋に行くように言われたんだけど。
      ゾキは?」
レンザ  「いないよ。レンがゾキに敵意むき出しなんだ。
      どれだけ言い聞かせてもダメなんだよ。
      だからゾキには悪いけど、宿は諦めてもらった。
      明日からは一日おきじゃなくて、毎日シュリと一緒だ。」
シュリ  「レンが?こんなにおとなしいのに・・・
      でも良かった。ずっと一緒にいられるね。」
レンザ  「うん。だけど大変だったんだぞ。
      普段、人に対しては、あそこまでやらないんだけどな。
      ゾキには可愛そうな事をしたよ。」
シュリ  「ゾキがレンに何かしたの?」
レンザ  「そうじゃない。
      突然レンが唸り始めたんだ。様子がおかしくなってた。
      レン、どうした?って言った時に、ゾキが入って来た。
      多分、ゾキの気配に唸ってたんだと思う。
      それからのレンの剣幕は尋常じゃなかった。
      ほっといたらゾキに襲い掛かる勢いなんだ。
      だからゾキとは少し話をしただけで、すぐに引き上げてもらったよ。」
シュリ  「そんな事があったんだ・・・
      レンザ、ゾキを見て、何か感じなかった?」
レンザ  「いやあんまりよく見てないんだ。
      レンをなだめるのに必死で。
      だけどレンがあんな風になるなんて今まで一度もなかったから、
      もしかするとゾキには何かあるのかも知れないな。」
シュリ  「あたしね、ヤキモチだけじゃなくて、なんだか嫌な予感があったの。
      レンも何かを感じたんだと思うよ。」
レンザ  「多分、そうなんだろうな・・・
      でもおれ、ゾキを待ってて思ったけど、
      ゾキじゃなくて、シュリが来てくれたらなって思ってた。
      だからゾキには悪かったけど、こうなって良かったと思ってる。
      おれは毎日、シュリと居たいんだ。」
 
 
 
          アヅミ野。川の上の高台。
 
タカジョウ  「なんだホコラ、こんな所にいたのか。
        旅立つから、洞窟にあいさつに行ったんだぞ。」
ホコラ  「丁度行き違いになったのかも知れんな。
      ん、この子はタガオの所の娘っ子だな。
      タガオと投網をしておった子だ。」
ミツ  「父さんを知ってるの?」
ホコラ  「知っておるよ。何度か共に蜂追いをした。
      お、灰燻し(アクいぶし)がこんなにあるのか。
      よしよし、では案内するから付いて来てくれ。
      歩きながら話をしよう。
      今日はあれ達のねぎらいの日でな。
      ちょうどいい所で出会った。
      猿酒をご馳走するよ。いい具合に醸(かも)されておる。
      サチと、なんと言ったかな?」
ミツ  「私の名前は、ミツ。」
ホコラ  「サチとミツには、山ブドウの甘酒だ。」
      どうしたシロクンヌ、キツネにつままれた顔をしておるぞ(笑)。」
 
 
          シオユ村(シシガミ村)。物陰。
 
セジ  「背中の傷は、少しずつ良くなってるね。
     でも大丈夫だったか?随分レンが唸り上げていたけど。
     噛まれたりしてないだろう?」
ゾキ  「怪我はしなかったけど・・・
     予定が狂ったね。
     こいつも無駄だった!」蛭(ヒル)を地面にたたきつけた。鮮血が飛び散った。
セジ  「それって・・・」
ゾキ  「そう。レンザをだますつもりだったの。
     生娘の振りをしてね。破瓜の血に使うはずだったんだよ。
     セジ・・・旅に出るよ。西に行く。」
セジ  「え?急に何を・・・」
ゾキ  「明日、旅立つよ。」
セジ  「明日って・・・ミワは?」
ゾキ  「あきらめな!旅先で、いい思いさせてやるからさ。」
セジ  「でも・・・ミワを狂わせてから、その後旅立ってもいいんじゃないか?」
ゾキ  「今、何て言った?
     あたしは、あきらめなって言ったよな?
     おまえ、あたしに逆らったね?
     消えな。とっとと消えてしまえ!
     あたしは別の男と旅立つよ。
     おまえはここで、女の股を覗いてよろこんでろ!」
セジ  「ちょ、ちょっと待ってくれよ!そんなつもりじゃないんだ。
     謝るからさ、おれを連れて行ってくれ。」
ゾキ  「おまえ、あたしと二人っきりで旅出来るんだよ?
     嬉しくないのか?
     毎晩、一緒に寝てやるんだ。」
セジ  「嬉しい!だから機嫌を直してくれ。
     何でもするからさ。」
ゾキ  「ホントだろうね?
     今度あたしに逆らったら、捨てて行くからね!」
セジ  「うん。もう逆らったりしない。絶対だ。
     そうか・・・明日からしばらくゾキと二人っきりなんだな・・・
     確かに嬉しいよ。凄く嬉しい。
     こう見えておれ、狩りだってそこそこ出来るからさ、
     ゾキにひもじい思いはさせないよ。
     ゾキが歩き疲れたら、いつだって・・・」
 
 
          アヅミ野。移動中。
 
シロクン  「それならミノリは、もともとハニサを知っておったのか?」
ホコラ  「それはもちろんな。あんな器をこしらえるのだから。
      だが、おぬしとハニサを結ばせようとか、そんな気はなかったぞ。
      おれはおぬしに、明り壺の祭りを見せたかっただけだ。
      タビンドのおぬしから見ても、他には無い、いい祭りだったろう?」
シロクン  「それは確かにそうだ。
        だがおれは、何かに導かれてウルシ村に行ったような気がしてならんのだ。
        その元がミノリだから、おれはずっとミノリの事が気になっていた。」
ホコラ  「待て待て、それは違うぞ。元はおれではない。
      明り壺の祭りだ。祈りの丘だよ。
      導かれたのではなく、引き寄せられたのだよ。
      ハニサが丈夫な子を産める歳になったぞと、おぬしを呼び寄せたのだ。」
シロクン  「そうなのか・・・
        ハニサは、ど。」
タカジョウ  「うしているかな。
        サチ、何回目だ?」
サチ  「12回目。」
 
 
登場人物 シロクン 28歳 タビンド 特産物を遠方の村々に運ぶ シロのイエのクンヌ  ササヒコ 43歳 ウルシ村のリーダー  ムマヂカリ 26歳 ヒゲの大男   ヤッホ 22歳 ササヒコの息子   ハギ 24歳 ヤスが得意  タホ 4歳 ヤッホとヤシムの息子 ヤシムと暮らしている  タヂカリ 6歳 ムマヂカリとスサラの息子  クマジイ 63歳 長老だが・・・  テイトンポ 40歳 シロクンヌの師匠 その道の達人   クズハ 39歳 ハギとハニサの母親   タマ 35歳 料理長  アコ 20歳 男勝り テイトンポに弟子入り   ヤシム 24歳 タホの母親  ハニサ 17歳 土器作りの名人 シロクンヌの宿   スサラ 25歳 ムマヂカリの奥さん  ヌリホツマ 55歳 漆塗り名人 巫女 本名はスス  ホムラ 犬 ムマヂカリが可愛がっている      
追加アシヒコ 56歳 アユ村のリーダー  マグラ 27歳 アユ村の若者  カタグラ 24歳 マグラの弟  フクホ 50歳 アシヒコの奥さん  マユ 25歳 アユ村の娘  ソマユ  19歳 マユの妹  サチ 12歳 孤児 シロクンヌの娘となる アヤクンヌ      エミヌ 18歳  オジヌ 16歳 エミヌの弟  カイヌ 14歳 オジヌの弟    モリヒコ シカ村のカミ  サラ 17歳 スサラの妹 ハギとトツギとなる ヌリホツマの弟子  ナクモ 18歳 エミヌの友人  シオラム 41歳 ササヒコのすぐ下の弟 塩作りの加勢のためシオ村で暮らす 5年に一度、里帰りする  ナジオ 20歳 シオラムの息子 シオ村生まれ  タカジョウ 23歳 ワシ使い  ホコラ 洞窟暮らし 哲人  シップ オオイヌワシ タカジョウが飼っている  エニ 38歳 エミヌ姉弟の母   カヤ アマカミの使者  シラク 北のミヤコのシロのムロヤの責任者  マシベ フジのシロの里の者 ヲウミのシロの村との連絡係り  トモ フジのシロの里の者  イナ 30歳 シロクンヌの姉弟子 杖の達人  コヨウ 15歳 タカジョウの妹  ゴン 洞窟で飼われている仔犬  ミツ 11歳 アユ村の少女  カザヤ 24歳 アユ村の若者 カタグラの友人  テミユ 22歳 カザヤの妹  タガオ 32歳 ミツの父親 目がみえない  ゾキ 14歳 オロチの姉 シップウの攻撃で背中に傷を負う オロチ 12歳 ゾキの弟 シップウの攻撃で顔に傷を負う  イワジイ 60歳 黒切りの里の山師 ヌリホツマの兄  シロイブキ 28歳 シロクンヌの兄弟
追加(旅編)スズヒコ 65歳 リンドウ村のリーダー  タジロ 21歳 リンドウ村の若者  セリ 11歳 リンドウ村の娘  レンザ 14歳 道中で出会った少年。足の骨が折れていた。  レン レンザが飼っているオオカミ  シシヒコ 35歳 シシガミ村のカミ  サタキ 25歳 シシガミ村の青年  ミワ 33歳 シシヒコの奥さん。  シュリ 21歳 シシガミ村の娘。レンザの宿。  ユリサ 22歳 シシガミ村の娘。一日だけのタカジョウの宿。  セジ 20歳 シシガミ村の青年。ゾキのシモベ。

   

用語説明 ムロヤ=竪穴住居  大ムロヤ=大型竪穴建物  カミ=村のリーダー  コノカミ=この村のリーダー           グリッコ=どんぐりクッキー  黒切り=黒曜石  神坐=石棒(男性器を模した磨製石器)  塩渡り=海辺の村が作った塩を山の村に運ぶ塩街道があった。ウルシ村から東にシカ村→アマゴ村・・・七つ目がシオ村  御山=おやま。ウルシ村の広場から見える、高大な山々  コタチ山=御山連峰最高峰  トコヨクニ=日本  蚊遣りトンボ=虫除けオニヤンマ ここではオニヤンマの遺骸に竹ひごを刺し、竹ひごをヘアバンドで頭部に固定する  トツギ=一夫一婦の結婚  眼木=めぎ 眼鏡フレーム 曲げ木工房で作っている  クンヌ=イエの頭領  吊り寝=ハンモック  一本皿=長い丸太を半分に割いて作ったテーブル。一本の木から2本取れるが、一本皿と呼ばれている。  一回し=長さの単位 70㎝  半回し=35㎝ 縄文尺とも呼ばれる。  カラミツブテ・カブテ=狩りの道具。コブシ大の二つの石を紐でつなげた物。  ボウボウ=樹皮ラッパ 法螺貝よりも高い音が出る。  薙ぎ倒しの牙・薙ぎ倒しイノシシの牙=ナウマン象の象牙  バンドリ=背負子などを背負った時に、肩と背中を保護する当て物。衣服の上からバンドリを装着し、それから背負子を着ける。  黒石糊アスファルト

 

 

縄文GoGo旅編 第21話 5日目②

 
 
 
          渓流沿いのシシ神の焚き上げ場。
 
セジ(20歳・男)  「やっぱ台風のせいか、そんなにいないよ。
            けっこう探したんだけど、2匹だけだった。」
ゾキ  「見せて。これでいいよ。」
セジ  「でも、蛭(ヒル)なんてどうするんだ?」
ゾキ  「詮索する男は嫌いだよ。」
セジ  「ごめん。なあ、ゾキ・・・」
ゾキ  「ご褒美が欲しいの?」
セジ  「ああ、また鼻を舐めてくれよ。」
ゾキ  「じゃあ昨日の所に行ってて。
     あたしはこっちから回って行くから。
     あたし達の事は、絶対に村の連中からバレないようにするんだよ。」
セジ  「分かってる。早く来てくれよな。」
 
 
          岩陰。
 
セジ  「もっと唾を飲ませてくれよ。鼻も舐めてくれ。
     あ!ゾキ、蛭が内腿に付いてるぞ。」
ゾキ  「潰しちゃダメだよ。」
セジ  「でも血を吸ってる。」
ゾキ  「血ぐらい吸うさ。蛭なんだから。
     ねえ、セジ、ミワと、したい?」
セジ  「え?どういう意味だ?」
ゾキ  「ミワを狂わせようと思ってるの。
     取り澄ましていてイケ好かないし、
     それにシシガミ村で愉しむなら、ミワを手なずけておかないとね。」
セジ  「ゾキの唾は、女にも効き目があるのか?」
ゾキ  「ミワくらいの熟した女に一番効くんだよ。」
セジ  「ミワが狂うって・・・
     信じられないな・・・」
ゾキ  「セジだって、昨日ここで狂ったでしょ?
     シシヒコだって見た事のない、狂ったミワを見てみたくない?」
セジ  「本当に、ミワと出来るのか?
     ミワは用心深くて、まだ一度も股が覗けてないんだ。」
ゾキ  「他の女のは、覗いたの?」
セジ  「全員、覗いてるよ。何度も。
     それが楽しくて、村に残ってるんだから。」
ゾキ  「あたしのも覗いてたでしょ。気付いてたよ。」
セジ  「ごめん。ゾキは可愛い顔してるから・・・」
ゾキ  「あたしに逆らわないって誓う?
     誓えばミワとさせてあげるよ。
     他にも狂わせたい女、いる?」
 
 
 
          夕刻のアヅミ野。川の上の高台。
 
サチ  「この周りのクマザサって枯れた感じがするけど、どうしたのかな?」
タカジョウ  「ここの手前から全部のクマザサが枯れ始めていたな。
        おそらく、花が咲いたんだぞ。」
ミツ  「クマザサの花って、私、見た事ない。」
シロクン  「タカジョウはクマザサの花にまつわる言い伝えを何か聞いておらんか?」
タカジョウ  「ああ聞いてる。
        師匠が、クマザサに花が咲くと、次の冬は大雪崩が起きるといっていた。」
シロクン  「雪崩(なだれ)の話はおれも聞いた。
        よし、この樹のこの枝、丁度いい具合に横に伸びているから、
        これを棟(むね)にして屋根を掛けようか。
        この下が今夜の寝床だ。
        雪崩以外にも・・・」
 
    そこに一人の男がやって来た。
 
  「地の祓えの声が聞こえたが、あんたがた、ここで夜を越しなさるか?」
シロクン  「ああ、そのつもりだが。」
  「ここは猿の縄張りじゃけえ、気をつけなされや。
    さっき大ワシが見えたが、猿もおらんじゃったろう?」
タカジョウ  「シップウを見て、猿も姿を見せなかった訳か。」
  「したが夜はワシも眠ろうで、猿は出て来よるぞ。」
シロクン  「おぬしは?」
  「わしゃあこの先に女房らと住みよる者よ。
    ほれ、あそこに2匹、斥候(せっこう偵察の意)じゃろな。」
タカジョウ  「数は多いのか?」
  「多い多い。
    近頃マシラというかしらが現れてな、三つの群れをまとめよった。」
タカジョウ  「流れ猿がか?」
  「いや、マシラは人間ぞ。見た目はの。
    人の言葉も話しよるが、猿の言葉も話しよる。」
シロクン  「あやかしの類(たぐ)いか?」
  「マシラの事は、わしらもようわからん。」
シロクン  「この辺り、クマザサに花が咲いたのか?」
  「ああ、春に咲きよった。」
タカジョウ  「向こうから、また誰か来るな。」
  「マシラじゃ。わしゃあもう行くけえ。」
 
 
 
 
          シオユ村(シシガミ村)の近く。
 
セジ  「ゾキはレンザの子を産むのか?」
ゾキ  「そうだよ。あたしとの事、レンザにバレないようにするんだよ。」
セジ  「分かってる。おれとも会ってくれるんだろう?」
ゾキ  「ああ、やってもらいたい事も出て来るだろうからね。」
セジ  「毎日会えそうか?」
ゾキ  「一日おきだよ、鼻を舐めてやるのは。
     とにかく今夜、レンザを狂わせて、その様子次第だな。」
セジ  「おれ、ゾキのためなら何でもやるからさ、出来るだけ会ってくれよ。」
ゾキ  「分かったよ。会う時はあたしから声を掛ける。
     そっちからあたしに話しかけるんじゃないよ。
     あたしの言う事は、絶対だ。
     分かってるね?」
セジ  「分かってる。絶対にゾキには逆らわないよ。
     ゾキ、内腿で、血を吸った蛭が、パンパンにふくらんでるぞ。」
 
 
 
          アヅミ野。川の上の高台。
 
タカジョウ  「ん?あれは・・・
        やっぱりそうだ。ホコラだ。
        マシラって言うのは、ホコラだったのか。」
シロクン  「ホコラだって?
        あれがホコラ?
        あれはミノリだぞ。樹の上で暮らしていた。
        アケビ村で出会ったハグレだ。
        おれに明り壺の祭りに行けと言った男だよ。」
ホコラ  「やあ、おそろいだな。
      シップウを見かけたから来てみたのだ。
      腹が減ったのだが、何か食い物は無いかな?」
 
 
 
 
登場人物 シロクン 28歳 タビンド 特産物を遠方の村々に運ぶ シロのイエのクンヌ  ササヒコ 43歳 ウルシ村のリーダー  ムマヂカリ 26歳 ヒゲの大男   ヤッホ 22歳 ササヒコの息子   ハギ 24歳 ヤスが得意  タホ 4歳 ヤッホとヤシムの息子 ヤシムと暮らしている  タヂカリ 6歳 ムマヂカリとスサラの息子  クマジイ 63歳 長老だが・・・  テイトンポ 40歳 シロクンヌの師匠 その道の達人   クズハ 39歳 ハギとハニサの母親   タマ 35歳 料理長  アコ 20歳 男勝り テイトンポに弟子入り   ヤシム 24歳 タホの母親  ハニサ 17歳 土器作りの名人 シロクンヌの宿   スサラ 25歳 ムマヂカリの奥さん  ヌリホツマ 55歳 漆塗り名人 巫女 本名はスス  ホムラ 犬 ムマヂカリが可愛がっている      
追加アシヒコ 56歳 アユ村のリーダー  マグラ 27歳 アユ村の若者  カタグラ 24歳 マグラの弟  フクホ 50歳 アシヒコの奥さん  マユ 25歳 アユ村の娘  ソマユ  19歳 マユの妹  サチ 12歳 孤児 シロクンヌの娘となる アヤクンヌ      エミヌ 18歳  オジヌ 16歳 エミヌの弟  カイヌ 14歳 オジヌの弟    モリヒコ シカ村のカミ  サラ 17歳 スサラの妹 ハギとトツギとなる ヌリホツマの弟子  ナクモ 18歳 エミヌの友人  シオラム 41歳 ササヒコのすぐ下の弟 塩作りの加勢のためシオ村で暮らす 5年に一度、里帰りする  ナジオ 20歳 シオラムの息子 シオ村生まれ  タカジョウ 23歳 ワシ使い  ホコラ 洞窟暮らし 哲人  シップ オオイヌワシ タカジョウが飼っている  エニ 38歳 エミヌ姉弟の母   カヤ アマカミの使者  シラク 北のミヤコのシロのムロヤの責任者  マシベ フジのシロの里の者 ヲウミのシロの村との連絡係り  トモ フジのシロの里の者  イナ 30歳 シロクンヌの姉弟子 杖の達人  コヨウ 15歳 タカジョウの妹  ゴン 洞窟で飼われている仔犬  ミツ 11歳 アユ村の少女  カザヤ 24歳 アユ村の若者 カタグラの友人  テミユ 22歳 カザヤの妹  タガオ 32歳 ミツの父親 目がみえない  ゾキ 14歳 オロチの姉 シップウの攻撃で背中に傷を負う オロチ 12歳 ゾキの弟 シップウの攻撃で顔に傷を負う  イワジイ 60歳 黒切りの里の山師 ヌリホツマの兄  シロイブキ 28歳 シロクンヌの兄弟
追加(旅編)スズヒコ 65歳 リンドウ村のリーダー  タジロ 21歳 リンドウ村の若者  セリ 11歳 リンドウ村の娘  レンザ 14歳 道中で出会った少年。足の骨が折れていた。  レン レンザが飼っているオオカミ  シシヒコ 35歳 シシガミ村のカミ  サタキ 25歳 シシガミ村の青年  ミワ 33歳 シシヒコの奥さん。  シュリ 21歳 シシガミ村の娘。レンザの宿。  ユリサ 22歳 シシガミ村の娘。一日だけのタカジョウの宿。  セジ 20歳 シシガミ村の青年。ゾキのシモベ。

   

用語説明 ムロヤ=竪穴住居  大ムロヤ=大型竪穴建物  カミ=村のリーダー  コノカミ=この村のリーダー           グリッコ=どんぐりクッキー  黒切り=黒曜石  神坐=石棒(男性器を模した磨製石器)  塩渡り=海辺の村が作った塩を山の村に運ぶ塩街道があった。ウルシ村から東にシカ村→アマゴ村・・・七つ目がシオ村  御山=おやま。ウルシ村の広場から見える、高大な山々  コタチ山=御山連峰最高峰  トコヨクニ=日本  蚊遣りトンボ=虫除けオニヤンマ ここではオニヤンマの遺骸に竹ひごを刺し、竹ひごをヘアバンドで頭部に固定する  トツギ=一夫一婦の結婚  眼木=めぎ 眼鏡フレーム 曲げ木工房で作っている  クンヌ=イエの頭領  吊り寝=ハンモック  一本皿=長い丸太を半分に割いて作ったテーブル。一本の木から2本取れるが、一本皿と呼ばれている。  一回し=長さの単位 70㎝  半回し=35㎝ 縄文尺とも呼ばれる。  カラミツブテ・カブテ=狩りの道具。コブシ大の二つの石を紐でつなげた物。  ボウボウ=樹皮ラッパ 法螺貝よりも高い音が出る。  薙ぎ倒しの牙・薙ぎ倒しイノシシの牙=ナウマン象の象牙  バンドリ=背負子などを背負った時に、肩と背中を保護する当て物。衣服の上からバンドリを装着し、それから背負子を着ける。  黒石糊アスファルト

 

 

縄文GoGo旅編 第20話 5日目①

 

 

 

          翌早朝。シシガミ村の近く。

 
ユリサ(22歳・女)  「あ!急降下した!キツネを見つけたのかな?」
タカジョウ  「きっとそうだ。キツネを見つけるのは早いからな(笑)。」
ユリサ  「あそこ、見に行ってみよう!」
 
ユリサ  「シップウが、キツネを押さえ込んでる!」
タカジョウ  「縄を打つから下がって見ていてくれ。生け捕りだ。」
ユリサ  「レンにあげるんだね。
      なんか、タカジョウもシップウもカッコイイな。
      ホントに、今日行っちゃうの?」
タカジョウ  「ああ、そうだ。
        なんやかんやで、予定よりも遅れているからな。
        本当なら、もっと先にいるはずなんだ。
        今日は早めの出発だ。
        よし、シップウ、よくやった。
        こいつをかついで、見張り小屋に行くぞ。
        どうした、ユリサ、泣いてるのか?」
ユリサ  「何でも無いよ。チョット淋しいなって思ったの。」
タカジョウ  「そうは言うが、昨日、知り合ったばかりだぞ。
        今までも、何度か宿は取って来たんだろう?」
ユリサ  「うん。私ねえ、授かりにくいのかも知れない。」
タカジョウ  「まだ一度も子を宿していないのか?」
ユリサ  「うん。それに、前の人達が旅立って行く時に、淋しいってあんまり思わなかった。
      一日しか会ってない人に淋しいって思うなんて、自分でもビックリ。
      タカジョウは、淋しくない?」
タカジョウ  「そう言われれば、淋しいな。
        そうだ、これをやるよ。黒切りの磨きだ。
        おれが磨いて、穴も開けたんだぞ。」
 
    タカジョウは両腕に腕飾りをしていたが、
    一つを外し、紐を取って石だけをユリサに手渡した。
 
ユリサ  「綺麗!透き通ってる。ありがとう!
      そっちの石も見せて。」
タカジョウ  「元々同じ一個の石だったんだ。こっちの方が少し黒いよな。
        女紐は持ってるだろう?」
ユリサ  「うん。ムロヤに戻ればある。
      ありがとう!これ、私の宝物。」
タカジョウ  「黒切りの里でも、これだけ透き通ってるのは珍しいんだぞ。
        さあ行こう。レンザのやつ、どうなったかな。」
 
 
          朝のシシガミ村。広場。
 
タカジョウ  「あのシュリって女、すごいな。
        食ってる最中のレンの頭を撫でてたぞ。」
シロクンヌ  「レンザはどうしてた?」
タカジョウ  「なんか、和らいだ顔つきになっていた。
        飛び越しにハマったようだぞ(笑)。」
シロクン  「ハハハ、昨日、ミツから教わったんだな。
        ではレンザとレンにあいさつして、おれ達は出発するか。
        コノカミ、ミワ、世話になったな。
        昨夜も豪勢な宴を開いてもらったし。」
シシヒコ  「村の恩人だぞ。あれくらいの事しか出来んが、また遊びに来てくれよ。」
シロクン  「ふむ。塩の件で、おれか別の者かはわからんが、またここに来ると思う。
        その時はよろしく頼む。」
シシヒコ  「うん。それで出来ればだが、シロのイエの男も、
       何人かここに住んでもらえるとありがたい。」
シロクン  「そうだな。あと大事なのは、たたりのウワサを打ち消す事だろうな。
        おれ達はこの村を、シオユ村と呼ぶ事にするよ。」
ミワ  「ありがとうございます。次は、ゆっくり遊びにいらしてください。」
サタキ  「ほら、これ持って行ってくれ。
      二年物だ。少し重いが、おぬしらなら苦にならんだろう?」
タカジョウ  「丸々一本、いいのか?」
シロクン  「おお、これはいい土産をもらったなあ。」
サチ  「ミツ、良かったね!また食べれるよ。」
ミツ  「うん!ありがとう!」
シシヒコ  「そしてこれは塩だ。
       今日は走るって言っていただろう?汗をかくぞ。
       そんな時は、こいつをチョンと指に付けて舐めるんだ。」
シロクン  「こりゃあいい!何から何まですまんな。」
ミワ  「ユリサ、腕飾り、とっても素敵よ。
     泣いていないでご挨拶しなきゃ。」
ユリサ  「タカジョウ、ありがとね。こども、出来てるといいな。」
タカジョウ  「きっと授かっておるぞ。手ごたえがあったからな(笑)。
        また会う日が来るかも知れん。元気でいろよ。」
 
 
          見張り小屋。
 
レンザ  「もう行くのか?」
シロクン  「ああ出発だ。その前に脚の具合を診てやる。
        そうだ。薬を少し置いていくか。」
サチ  「レンザはここに住むの?」
レンザ  「そのつもりだよ。コノカミも是非住んでくれって言ってくれたし。
      シュリとレンの3人でここで暮らす。
      また会いに来いよ。」
ミツ  「ねえレンザ、耳かして。ナイショ話。
     (もじゃもじゃだった?)」
レンザ  「ぶっ、ばかだなおまえはホントに。そうだったよ。」
ミツ  「よかったね!」
シュリ  「何のはなし?ってチョット聞こえたよ!」
タカジョウ  「ナイショ話になってなかったぞ(笑)。」
シュリ  「もう、恥ずかしいんだから!
      そう言えば昨日の夜宴でオロチの話をしてたでしょう。
      オロチの姉って何て言う名前なの?」
シロクン  「ミツ、名は聞いておらんのだよな?」
ミツ  「うん。姉ちゃんって呼んでただけだったから。」
シュリ  「何歳くらいだったの?」
ミツ  「15歳くらい。」
シュリ  「シップウに背中をやられたんだよね・・・」
シロクン  「何か心当たりがあるのか?」
シュリ  「え、でも南に向かったんでしょう?」
シロクン  「それは分からんのだ。男にそう言わせておいて、北に向かったかも知れん。」
レンザ  「ゾキの事を言ってるのか?
      考えすぎだよ。」
タカジョウ  「ゾキとは?」
レンザ  「昨日コノカミが言っていたろう。おれのもう一人の宿。
      兄さん二人をシシ神に喰われて、暗い感じらしいんだ。
      それでシシ神から逃げる時に崖を滑り下りて、背中をケガしてる。
      傷は新しかったんだろう?」
シュリ  「うん。ミワに聞いたら、新しい擦り傷だって。」
レンザ  「そんな事言わなくたって、おれはゾキに入れ込んだりしないよ。
      ただ境遇がおれと似てるから、同情はするだろうけど。
      シュリはゾキの事になると、ちょっと変だぞ。」
シュリ  「ごめんなさい。やっぱりあたし、レンザを独り占めしたいのかな・・・」
タカジョウ  「おおレンザ、モテていいではないか(笑)。」
シロクン  「レンザは顔つきが変わったな。噛みつきそうな眼をしておったが。
        シュリのお陰だな(笑)。」
レンザ  「うん。おれ、シュリに会えて良かった。
      シロクンヌ、アマカミになったらもう会えないのか?」
シロクン  「そんな事はない。今まで通りだ。ミヤコに遊びに来いよ。」
レンザ  「シュリに子が産まれたら、レンを連れてみんなで遊びに行くよ。
      子はアマテルと遊ばせようかな(笑)。」
シュリ  「ハニサって綺麗なんでしょう?会ってみたいな。」
シロクン  「ハニサかー、おれも会いたいなあ(笑)。」
タカジョウ  「もう里心が付いたのか。先が思いやられるぞ(笑)。」
サチ  「父さん、昨日の夜も、ハニサはどうしてるかなって言ってたよ。」
シュリ  「シロクンヌって、ハニサが大好きなんだ。
      でも、カッコいいからモテるでしょう?」
タカジョウ  「それがこの男、ハニサ以外の女はイノシシに見えるらしいぞ(笑)。」
シロクン  「それは言い過ぎだ(笑)。」
レンザ  「ミツ、飛び越しって面白いな。
      あれを考え出すなんて、ミツは意外に賢いんだな。」
ミツ  「今、どっちが強いの?」
シュリ  「3勝3敗。
      レンザが動けるようになるまで、あたし、一緒にいて飛び越しやるの。」
タカジョウ  「いかんなあ、なんだかレンザがうらやましくなってきたぞ。」
レンザ  「いいだろう(笑)。タカジョウも絶対こっちに戻って来いよ。
      タカの里にも遊びに行くからな。」
タカジョウ  「ああ分かった。おまえもあんまり無茶するなよ。」
サチ  「アヤの村にも来てね。」
レンザ  「もちろん行くさ。ミツもそこにいるんだよな。
      おまえら、少しは大人になってろよ。」
シロクン  「ははは。さて、そろそろ出発するか。
        今日は走るぞ。今日中にアヅミ野に入る。
        ミツは抱っこ帯だ。」
 
    それぞれが別れを告げ、シロクンヌ達4人は村を後にした。
    村を出た所で、レンの遠吠えがひとつ響いた。
 
 
 
登場人物 シロクン 28歳 タビンド 特産物を遠方の村々に運ぶ シロのイエのクンヌ  ササヒコ 43歳 ウルシ村のリーダー  ムマヂカリ 26歳 ヒゲの大男   ヤッホ 22歳 ササヒコの息子   ハギ 24歳 ヤスが得意  タホ 4歳 ヤッホとヤシムの息子 ヤシムと暮らしている  タヂカリ 6歳 ムマヂカリとスサラの息子  クマジイ 63歳 長老だが・・・  テイトンポ 40歳 シロクンヌの師匠 その道の達人   クズハ 39歳 ハギとハニサの母親   タマ 35歳 料理長  アコ 20歳 男勝り テイトンポに弟子入り   ヤシム 24歳 タホの母親  ハニサ 17歳 土器作りの名人 シロクンヌの宿   スサラ 25歳 ムマヂカリの奥さん  ヌリホツマ 55歳 漆塗り名人 巫女 本名はスス  ホムラ 犬 ムマヂカリが可愛がっている      
追加アシヒコ 56歳 アユ村のリーダー  マグラ 27歳 アユ村の若者  カタグラ 24歳 マグラの弟  フクホ 50歳 アシヒコの奥さん  マユ 25歳 アユ村の娘  ソマユ  19歳 マユの妹  サチ 12歳 孤児 シロクンヌの娘となる アヤクンヌ      エミヌ 18歳  オジヌ 16歳 エミヌの弟  カイヌ 14歳 オジヌの弟    モリヒコ シカ村のカミ  サラ 17歳 スサラの妹 ハギとトツギとなる ヌリホツマの弟子  ナクモ 18歳 エミヌの友人  シオラム 41歳 ササヒコのすぐ下の弟 塩作りの加勢のためシオ村で暮らす 5年に一度、里帰りする  ナジオ 20歳 シオラムの息子 シオ村生まれ  タカジョウ 23歳 ワシ使い  ホコラ 洞窟暮らし 哲人  シップ オオイヌワシ タカジョウが飼っている  エニ 38歳 エミヌ姉弟の母   カヤ アマカミの使者  シラク 北のミヤコのシロのムロヤの責任者  マシベ フジのシロの里の者 ヲウミのシロの村との連絡係り  トモ フジのシロの里の者  イナ 30歳 シロクンヌの姉弟子 杖の達人  コヨウ 15歳 タカジョウの妹  ゴン 洞窟で飼われている仔犬  ミツ 11歳 アユ村の少女  カザヤ 24歳 アユ村の若者 カタグラの友人  テミユ 22歳 カザヤの妹  タガオ 32歳 ミツの父親 目がみえない  ゾキ 14歳 オロチの姉 シップウの攻撃で背中に傷を負う オロチ 12歳 ゾキの弟 シップウの攻撃で顔に傷を負う  イワジイ 60歳 黒切りの里の山師 ヌリホツマの兄  シロイブキ 28歳 シロクンヌの兄弟
追加(旅編)スズヒコ 65歳 リンドウ村のリーダー  タジロ 21歳 リンドウ村の若者  セリ 11歳 リンドウ村の娘  レンザ 14歳 道中で出会った少年。足の骨が折れていた。  レン レンザが飼っているオオカミ  シシヒコ 35歳 シシガミ村のカミ  サタキ 25歳 シシガミ村の青年  ミワ 33歳 シシヒコの奥さん。  シュリ 21歳 シシガミ村の娘。レンザの宿。  ユリサ 22歳 シシガミ村の娘。一日だけのタカジョウの宿。

   

用語説明 ムロヤ=竪穴住居  大ムロヤ=大型竪穴建物  カミ=村のリーダー  コノカミ=この村のリーダー           グリッコ=どんぐりクッキー  黒切り=黒曜石  神坐=石棒(男性器を模した磨製石器)  塩渡り=海辺の村が作った塩を山の村に運ぶ塩街道があった。ウルシ村から東にシカ村→アマゴ村・・・七つ目がシオ村  御山=おやま。ウルシ村の広場から見える、高大な山々  コタチ山=御山連峰最高峰  トコヨクニ=日本  蚊遣りトンボ=虫除けオニヤンマ ここではオニヤンマの遺骸に竹ひごを刺し、竹ひごをヘアバンドで頭部に固定する  トツギ=一夫一婦の結婚  眼木=めぎ 眼鏡フレーム 曲げ木工房で作っている  クンヌ=イエの頭領  吊り寝=ハンモック  一本皿=長い丸太を半分に割いて作ったテーブル。一本の木から2本取れるが、一本皿と呼ばれている。  一回し=長さの単位 70㎝  半回し=35㎝ 縄文尺とも呼ばれる。  カラミツブテ・カブテ=狩りの道具。コブシ大の二つの石を紐でつなげた物。  ボウボウ=樹皮ラッパ 法螺貝よりも高い音が出る。  薙ぎ倒しの牙・薙ぎ倒しイノシシの牙=ナウマン象の象牙  バンドリ=背負子などを背負った時に、肩と背中を保護する当て物。衣服の上からバンドリを装着し、それから背負子を着ける。  黒石糊アスファルト

 

 

縄文GoGo旅編 第19話 4日目⑦

 
 
 
          シシガミ村の近くの洗濯場。
 
    シロクンヌとタカジョウの二人だけだ。
    タカジョウは着替えていて、レンの傷を押さえた服を洗っている。
 
シロクン  「どうだ?血は落ちそうか?」
タカジョウ  「染みにはなるだろうな。
        まあ、レンの血だから、気にならんからいいさ。
        オオヤマネコ除けになるかも知れんしな(笑)。
        思わぬ所で塩の話も付いて、良かったなあ。」
シロクン  「ああ、それはな・・・」
タカジョウ  「何だ、どうかしたのか?」
シロクン  「実は今夜の宿の話なんだ。
        いや宿はおれも今までに何度か取って来た。ハニサだって宿だしな。
        ・・・これはタカジョウだから言うのだが、
        今はな、ハニサ以外の女に、まったく反応せんのだ。」
タカジョウ  「そうなのか!確かめたのか?」
シロクン  「ああ。イナの着替えにまったく反応無しだった。
        昔は反応して、からかわれていたんだ。」
タカジョウ  「ハニサには、反応するのか?」
シロクン  「激しいほどにな。
        最初にハニサといたして以来、その傾向があったんだが、
        決定的な出来事は明り壺の祭りの二日前だ。
        ハニサと二人で岩の温泉に行った。
        温泉では二人きりだった。
        そこでハニサが横の崖に粘土があるのを見つけて、それを掘ったんだ。
        その途端、ハニサが光を放った。全裸でだぞ。
        そこで光り輝くハニサといたして以来、他の女への興味を完全に失った。」
タカジョウ  「光るハニサとか!それも凄い話だな(笑)。
        良かったか?(笑)」
シロクン  「頭の中が、弾けたぞ。」
タカジョウ  「だろうなあ(笑)。まあ、いたせる相手がハニサなんだから、それで十分だよな。
        分かった。コノカミにはおれが上手く伝えておくよ。」
シロクン  「すまんな。さっきはミワがいたから言い出せなかったんだ。」
タカジョウ  「おれは役目を果たしてくるぞ。」
シロクン  「ああ、人助けだ。
        おれはサチとミツと三人で寝るよ。」
タカジョウ  「しかし考えてみると・・・
        以前、ハニサのムロヤでハニサを見た時に思ったのだが、
        あんな神々しい者を相手に、よくおぬし、いたせるよな。
        ましてや光り輝くハニサだろう?
        普通の男なら、反応せんぞ。むしろ、縮こまる。
        そういう意味では、おぬしもレンザとどっこいの猿だな(笑)。」
シロクン  「ぐっ、おぬし、こないだの仕返しをしておるだろう。」
 
 
          シシガミ村。
 
サタキ  「探してたんだぞ。案内するよ。」
シロクン  「洗濯場に行っていた。腕は大丈夫か?」
サタキ  「ああ、平気だ。骨を折ったのは、これで四度目だから慣れてるよ(笑)。」
サチ  「4回も折ってるの?」
サタキ  「ああ。イノシシで3回、熊で1回。」
ミツ  「熊と戦ったの?」
サタキ  「いや、熊から逃げて、崖から落ちた(笑)。
      ほら、あれが塩締め小屋だ。
      中を見せるよ。」
サチ  「わー!天井が見えない!
     たくさん吊り下げてあるね!」
タカジョウ  「イノシシの腿(もも)と言っていたが骨付きのままなのか!
        それも皮が剥いであるだけで、一本丸々だ。」
シロクン  「これとあれでは、色が違うな。」
ミツ  「なんかいい匂いするね。」
サタキ  「全然生臭くないだろう?
      イノシシの皮を剥いで腿を切り落として、塩を摺り込むんだよ。何度もな。
      腿一個に、あの鉢一杯の塩を使うんだぞ。」
シロクン  「何だって!一村で、ひと月に使う塩の倍はあるぞ。」
サタキ  「そうだよな。ここだからこそ、出来るんだよ。
      あの一番奥、あの辺りが二年物だ。待ってろよ。今食わせるから。」
ミツ  「いぶさなくても、塩だけで、生肉が二年ももつの?」
サタキ  「そうだよ。他では出来ないよな?塩って貴重品だから。
      タカジョウ、肉を押さえていてくれ。ここで切るから。
      表面は塩がきつくてダメだ。
      だけど煮込むといいダシが出るんだぞ。
      今晩、こいつを使ったキノコ汁を飲ませるよ。他にはない味だぞ。
      この奥の、この辺りなんだよ、一番旨いのは。
      ここを、薄くそぐんだ。出来るだけ薄く。」
タカジョウ  「上手にそぐなあ。」
サタキ  「一個一個は小さいだろう?これをな、二三枚いっぺんに・・・
      サチとミツ、上を向いて口を開けて。
      そら。そら。」
ミツ  「美味しい!」
サチ  「口の中で、とろけたよ!」
 
 
          見張り小屋。
 
シュリ  「ごめん。脚、痛くなかった?
      あたし、夢中になって動き過ぎちゃった。」
レンザ  「平気だ。女っていいもんだな。
      おれ、ずっとシュリと一緒に居たい気分だ。」
シュリ  「ずっと居なよ。
      レンだっておとなしいし、3人で暮らそうよ。
      あたし、レンザの子を、何人も産みたいもん。
      あたしねえ、今までに二人の人を宿に取ったの。
      でも、授からなかった。」
レンザ  「二人は、長く居たのか?」
シュリ  「二人共、ひと月くらい。」
レンザ  「ふーん。
      レンも居心地良さそうだし、この見張り小屋って、ずっと住んでてもいいのかな?」
シュリ  「きっとコノカミは良いって言うと思うよ。
      だってレンザとレンって、見張りにはピッタリでしょう?」
レンザ  「ハハハ。そうかも知れないな。今度聞いてみるか。
      シュリはここでもいいのか?」
シュリ  「あたし、レンザと一緒ならどこでもいい。
      でもこの小屋、冬は寒いよね?」
レンザ  「うん。おれとレンだけならこのままでもいいけど、
      シュリが寒くならない工夫をしなきゃな。
      寒い中で、いたしたくないし(笑)。」
シュリ  「ねえ、レンザ、あたし、どうだった?」
レンザ  「どうって・・・
      おれにしてみたら、初めてだからな。舞い上がってたよ。
      シュリは姉ちゃんに似てるから、最初はドギマギしたけど。
      でももうおれの中では、シュリは、完全にシュリだ。
      当たり前だよな?おれまた、変な事言ったか?」
シュリ  「ううん。なんか嬉しい。
      って言うか、あたしの方が変な事聞いたよね?」
レンザ  「コノカミが言っていた、もう一人の宿が関係あるのか?」
      シシ神に喰われた兄弟の妹とかいう・・・」
シュリ  「うん。ゾキっていう名前で、あたしはまだしゃべった事無いの。
      確かね、レンザと同じ年だよ。」
レンザ  「14って事か。」
シュリ  「うん。可愛い顔してるんだけど、あたし、あの子、怖い。
      って、あの子に言わないでね。あたしがこんな事言ったの。」
レンザ  「言わないけど、何が怖いんだ?」
シュリ  「うーん、説明が難しいんだけど・・・
      どこか、禍々(まがまが)しいの。」
レンザ  「それは兄さん二人がシシ神に喰われたから、気持ちが暗くなってるからじゃないのか?」
シュリ  「そうなのかな・・・」
レンザ  「おれは、なんとなくゾキの気持ちが分かるよ。」
シュリ  「コノカミやミワは、可哀そうな娘だって言って、何かと良くしてるみたいだけど。
      レンザがゾキに夢中になって、あたしに見向きもしなくなったら嫌だなって・・・」
レンザ  「なるもんか。同い年だろう?
      少しは興味あるけど。
      おれは、シュリみたいに、もじゃもじゃしてる女が好きなんだ(笑)。」
シュリ  「もう!変な言い方!恥ずかしいよ!
      あ!そうだ、これ言っとかないとね。
      レンザのお世話は、あたしとゾキとで一日交代なの。
      だから明日は、あたしとはいたせないよ。」
レンザ  「えー、そうなのか。
      おれ、シュリとは毎日・・・
      そんなら今からもう一回・・・」
 
 
 
登場人物 シロクン 28歳 タビンド 特産物を遠方の村々に運ぶ シロのイエのクンヌ  ササヒコ 43歳 ウルシ村のリーダー  ムマヂカリ 26歳 ヒゲの大男   ヤッホ 22歳 ササヒコの息子   ハギ 24歳 ヤスが得意  タホ 4歳 ヤッホとヤシムの息子 ヤシムと暮らしている  タヂカリ 6歳 ムマヂカリとスサラの息子  クマジイ 63歳 長老だが・・・  テイトンポ 40歳 シロクンヌの師匠 その道の達人   クズハ 39歳 ハギとハニサの母親   タマ 35歳 料理長  アコ 20歳 男勝り テイトンポに弟子入り   ヤシム 24歳 タホの母親  ハニサ 17歳 土器作りの名人 シロクンヌの宿   スサラ 25歳 ムマヂカリの奥さん  ヌリホツマ 55歳 漆塗り名人 巫女 本名はスス  ホムラ 犬 ムマヂカリが可愛がっている      
追加アシヒコ 56歳 アユ村のリーダー  マグラ 27歳 アユ村の若者  カタグラ 24歳 マグラの弟  フクホ 50歳 アシヒコの奥さん  マユ 25歳 アユ村の娘  ソマユ  19歳 マユの妹  サチ 12歳 孤児 シロクンヌの娘となる アヤクンヌ      エミヌ 18歳  オジヌ 16歳 エミヌの弟  カイヌ 14歳 オジヌの弟    モリヒコ シカ村のカミ  サラ 17歳 スサラの妹 ハギとトツギとなる ヌリホツマの弟子  ナクモ 18歳 エミヌの友人  シオラム 41歳 ササヒコのすぐ下の弟 塩作りの加勢のためシオ村で暮らす 5年に一度、里帰りする  ナジオ 20歳 シオラムの息子 シオ村生まれ  タカジョウ 23歳 ワシ使い  ホコラ 洞窟暮らし 哲人  シップ オオイヌワシ タカジョウが飼っている  エニ 38歳 エミヌ姉弟の母   カヤ アマカミの使者  シラク 北のミヤコのシロのムロヤの責任者  マシベ フジのシロの里の者 ヲウミのシロの村との連絡係り  トモ フジのシロの里の者  イナ 30歳 シロクンヌの姉弟子 杖の達人  コヨウ 15歳 タカジョウの妹  ゴン 洞窟で飼われている仔犬  ミツ 11歳 アユ村の少女  カザヤ 24歳 アユ村の若者 カタグラの友人  テミユ 22歳 カザヤの妹  タガオ 32歳 ミツの父親 目がみえない  ゾキ 14歳 オロチの姉 シップウの攻撃で背中に傷を負う オロチ 12歳 ゾキの弟 シップウの攻撃で顔に傷を負う  イワジイ 60歳 黒切りの里の山師 ヌリホツマの兄  シロイブキ 28歳 シロクンヌの兄弟
追加(旅編)スズヒコ 65歳 リンドウ村のリーダー  タジロ 21歳 リンドウ村の若者  セリ 11歳 リンドウ村の娘  レンザ 14歳 道中で出会った少年。足の骨が折れていた。  レン レンザが飼っているオオカミ  シシヒコ 35歳 シシガミ村のカミ  サタキ 25歳 シシガミ村の青年  ミワ 33歳 シシヒコの奥さん。  シュリ 21歳 レンザの宿。

   

用語説明 ムロヤ=竪穴住居  大ムロヤ=大型竪穴建物  カミ=村のリーダー  コノカミ=この村のリーダー           グリッコ=どんぐりクッキー  黒切り=黒曜石  神坐=石棒(男性器を模した磨製石器)  塩渡り=海辺の村が作った塩を山の村に運ぶ塩街道があった。ウルシ村から東にシカ村→アマゴ村・・・七つ目がシオ村  御山=おやま。ウルシ村の広場から見える、高大な山々  コタチ山=御山連峰最高峰  トコヨクニ=日本  蚊遣りトンボ=虫除けオニヤンマ ここではオニヤンマの遺骸に竹ひごを刺し、竹ひごをヘアバンドで頭部に固定する  トツギ=一夫一婦の結婚  眼木=めぎ 眼鏡フレーム 曲げ木工房で作っている  クンヌ=イエの頭領  吊り寝=ハンモック  一本皿=長い丸太を半分に割いて作ったテーブル。一本の木から2本取れるが、一本皿と呼ばれている。  一回し=長さの単位 70㎝  半回し=35㎝ 縄文尺とも呼ばれる。  カラミツブテ・カブテ=狩りの道具。コブシ大の二つの石を紐でつなげた物。  ボウボウ=樹皮ラッパ 法螺貝よりも高い音が出る。  薙ぎ倒しの牙・薙ぎ倒しイノシシの牙=ナウマン象の象牙  バンドリ=背負子などを背負った時に、肩と背中を保護する当て物。衣服の上からバンドリを装着し、それから背負子を着ける。  黒石糊アスファルト

 

 

ウルシ村、絵コンテ

 

 

今は懐かしい(?)ウルシ村の絵コンテです。

ちなみに、ダケカンバ筆。絵師さんとの打ち合わせ用に、私が描いたものです。

縄文GoGo本文では、建物や風景についてほとんど情景描写していませんが、

それは、絵によって表現して欲しいと思っているからです。

旗塔やいろり屋の外観は私がイメージしているものを描いたのですが、

もちろん、これが絶対という訳ではありません。

むしろ、一例と捉えてもらった方が良いかも知れません。

 

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これは、作業小屋の屋根から見た旗塔と崖の室。

崖の室は、ムマヂカリが鹿肉を保存熟成させる場所。

入口には杉の木が植樹してあります。手前の2本は、樹齢100年。

しめ縄があり、慰霊と送りの樹となっています。

旗塔は、地面で組んで綱を使って起こしたという設定。

その際、手前の杉の木を利用します。

この旗塔が、先日の台風で折れてしまったのです。

 

 

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広場から見た、いろり屋正面図。

いろり屋には、固定された壁はありません。

 

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いろり屋内部。

下にあるのは石囲い炉ですが、いろり屋内には同じ炉が4ヶ所あります。

 

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炉と火棚。

実際のいろり屋は、梁から様々な物が吊り下げられていて、ほとんど天井は見えません。

 

 

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第1話 シロクンヌとクズハの出会いシーン。ムシロの洗濯に来ているクズハ。

クズハ本人の絵は私ではありませんが、服のデザインは私がしました。

洗濯が終われば、巻きスカートをつけます。

私は絵の中では、飛び石に橋を架けてみました。

手前に流れるのが飛び石の川。

橋を渡ると奥が上り坂になっていて、坂の左上がウルシ村です。

 

 

 

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ウルシ村居住部。

画面左下が旗塔。

ここには画かれていないが、作業小屋と旗塔の間に送り場があり、

画面下の大屋根の下方に湧き水がある。

 

 

 

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ウルシ村 村域図

画面左端から下に走っているのは飛び石の川。上が上流。

 

 

 

物語中のウルシ村は、私の中ではある種のテーマパークのような趣きがあるのです。

現在、絵師さん募集中。

だれか、絵を描いてくれる人はいませんかねえ・・・

 

 

 

 

縄文GoGo旅編 第18話 4日目⑥

 

 

 

          シシガミ村の見張り小屋。

 

    シシガミ村は、高く積まれたシシ垣の上に築かれていた。

    村全体が、石垣で囲まれていたのだ。

    見張り小屋はその石垣の外にあり、村から少し離れた場所に、

    やはり高く積まれたシシ垣に囲まれて建てられていた。

    例えて言うなら、離れ小島のような感じだ。

    その小屋の中に、シロクンヌ一行とレンザとレン、そしてシシヒコと女が二人いた。

 
シシヒコ  「急ごしらえの寝床だが、寝心地はいかがかな?」
レンザ  「悪くはないよ。
      水鉢の水を飲んで、レンも落ち着いて来たし、
      この小屋でレンと二人、しばらく厄介になるよ。」
シシヒコ  「それなら良かった。
       紹介しておこう。
       おれの女房のミワだ。」
ミワ(33歳)  「シシ神を退治していただいたそうで、本当にありがとうございます。
         皆さんは村の恩人です。
         ここ数日、村の者は、恐ろしくてシシ垣の外に出られずにいました。
         今度のシシ神は異様に大きくて、
         手負いには決してさせないようにと注意を払っていたのですが、
         通りすがりの不届き者の気まぐれから、大変な事態となっていました。
         村は絶望に包まれておりました。
         シシ神が病で斃(たお)れるのを待つしかない・・・
         皆、そう言っていたのです。
         それを皆さんが救って下さいました。
         私には、皆さんが天からの使いに見えます。
         山奥の村で大したおもてなしはできませんが、
         せめて今夜はくつろいでくださいませ。」
シロクン  「これはご丁寧に。我々4人、一晩厄介になりますよ。」
タカジョウ  「コノカミが言っていた通りだ。綺麗な奥さんだなあ。
        こっちの女の人は?」
シュリ(21歳)  「シュリと申します。レンザのお世話をいたします。
          子種も、授けて下さいませ。」
タカジョウ  「おいレンザ!凄い美人だぞ!」
シロクンヌ  「請われて子種を差し出すのは人助けだ。
        男冥利に尽きる頼まれ事だぞ。」
タカジョウ  「何だレンザ、モジモジして。あいさつしないか。」
レンザ  「顔が、姉ちゃんに似てるんだ。そしたら、声まで似てた・・・」
シロクン  「おまえの死んだ姉さんは、いくつだったんだ?」
レンザ  「21歳。おれと姉ちゃんの間にもう一人いて、赤ん坊の時に死んだって聞いた。」
ミワ  「シュリも21歳ですよ。
     気の届くやさしい娘ですから、何なりと言いつけてくださいね。」
サチ  「大人の人で良かったね!」
ミツ  「もじゃもじゃ・・・」
レンザ  「言うな!ミツ!」
サチ  「キャハハ。」
レンザ  「もう、子供はあっちに行け!」
サチ  「ミツ、外に行ってみよう!」
ミツ  「うん、旗塔の所に、花が咲いてたよ。」
レンザ  「ホントにあいつら、ガキだな!」
タカジョウ  「レンザ、おまえ、女といたした事はあるのか?」
レンザ  「無いに決まってるだろう。大体、出会う事が無かったんだぞ。」
タカジョウ  「さてはおまえ、もう張り屋をおっ立てておるだろう?(笑)」
レンザ  「どうしような・・・頭の中が、クラクラしてる。」
シシヒコ  「ハハハ、では、シュリを残して我々は退散しようか(笑)。
       そうだ、レンザ、実はもう一人、宿の希望者がいてな、
       その娘は、レンザに感謝しているんだ。
       シシ神に喰われた兄弟の妹なんだよ。
       今はシシ神の焚き上げに行っていてここにはいないが、
       その娘も、若いが美しいぞ。
       若いんだから、二人相手でも苦にならんだろう?(笑)」
タカジョウ  「苦になるどころか、猿の本領を発揮するよな?(笑)」
レンザ  「うるさい!タカジョウ!早くどっかに行ってくれ!」
シロクン  「ハハハ、コノカミ、塩湯というのを見てみたいんだが。」
シシヒコ  「うん。案内する。
       それと、一晩だけだが、二人も宿を取ってくれ。
       我が村にとって、勇者の子種は得難い宝だからな。
       村のために、是非頼む。」
 
レンザ  「やっと出て行ったな。
      まったく、どいつもこいつも、人をからかいやがって・・・」
シュリ  「ブ、ブファハハハー。」
レンザ  「な、何だよ、いきなり!」
シュリ  「だって、レンザ、ムクムクさせてるんだもん!
      反応、良過ぎっ!面白いー!」
レンザ  「な、何言ってるんだ。シュリの方こそ、さっきと感じが違うぞ。」
シュリ  「ミワの前では、ああやってないとしかられるからね。
      あ!レンの水鉢が空になってる。
      水汲んで来るね。
      レンはおとなしくていい子だねー。」
レンザ  「おい!今、レンの頭を撫でたのか?」
シュリ  「そうだよ。ほら、いい子いい子。」
レンザ  「驚いたなー。似てるからって、姉ちゃんと間違えるはずないし・・・
      レンは、おれと姉ちゃん以外のやつに、絶対にそんな事させなかったんだぞ。」
シュリ  「そうなんだ。あたし、レンに認めてもらったんだ。
      今日はレンザを放っといて、レンと寝ようかなー。
      水汲んで来るねー。」
レンザ  「変わった女だな・・・」
 
 
          シシガミ村。塩湯の湯元。
 
ミワ  「これがそうです。この石垣の間から、少しずつ染み出すように湧いてきているでしょう。
     熱いんですよ。」
シシヒコ  「ほら、この器に溜めて、舐めてみろよ。」
シロクン  「ん!塩辛いな!海の水の何倍も塩辛い。」
タカジョウ  「何でだろうな?こんなにも海から遠い所で・・・」
シシヒコ  「不思議だろう?
       あそこに黒砂利が敷いてあるのが見えるよな。
       あの黒砂利を、手で触ってみろよ。」
シロクン  「温かいな。ここで火を焚いたのか?」
シシヒコ  「そうじゃない。地面が温かいんだ。その場所だけな。
       そこに砂利を敷いてあるんだ。」
ミワ  「昔から、どんなに寒くても、そこだけは雪が無いんですよ。」
シシヒコ  「台風やシシ神騒動で、今はそうなってるけど、普段ならそこは真っ白なんだぞ。
       この浸み出ている塩湯を溜めておいて、そこに蒔くんだよ。
       しばらく放っておけば、湯は飛んで、塩だけが白く残る。
       あとは砂利をシナの木の皮に載せて、ハケをかける。
       そんな簡単な方法で、ここでは塩を手に入れているんだぞ。」
ミワ  「ここでは、塩採りは女の仕事です。」
シロクン  「驚きの連続だ!こんな村があったとはな・・・」
タカジョウ  「黒砂利も結構深いんだな。下の方は相当熱いぞ。」
ミワ  「箕(み)に百杯分の黒砂利を、遠い河原から運んだそうですよ。」
シシヒコ  「これがその湯塩だ。舐めれば分かるが、海の塩とは少し味が違う。」
タカジョウ  「本当だなあ。旨味がある。」
ミワ  「ここも昔は、シオユ村って言っていたそうなんです。
     それが周りからは、シシガミ村としか呼ばれないようになってしまって、
     今ではシオユ村と言っても分かる人はいません。」
シロクン  「それもまた、ひどい話だな。それでこの湯元と言うのは、ここだけなのか?」
ミワ  「昔はここの他に、近所に2ヶ所あったそうです。
     でもそちらの方は涸れてしまって、時々塩気の無い湯がにじむ程度です。」
シロクン  「この塩だが、他の村には出していないのか?」
ミワ  「以前は出していたんですよ。
     でも、たたりのウワサが広まって・・・
     あの塩を舐めると不具の子ができると・・・
     それでどこからも欲しがられなくなったのです。
     今は、この村でしか使っていませんから、塩は余っています。」
シシヒコ  「村のカミの名前も、以前はシオヒコだったそうだぞ。
       たたりなどと言うが、この村に美人が多いのは、
       この塩が体に良いせいではないかと、おれなどは思っているんだがな。」
シロクン  「ふむ。実を言うと、おれが次のアマカミになるんだ。
        ウワサは伝わっておらんか?」
シシヒコ  「アマカミ!そうなのか?光の子の父親だとしか・・・
       ここはウワサも入って来にくい村だからな。」
ミワ  「まあ!どうしましょう!
     アマカミになられるお方をどうやってもてなせば・・・」
シロクン  「いやいや、そういうのは勘弁してくれ。
        今はただの男だよ。普通に接してもらいたい。
        それでな、スワの湖の向こうがミヤコになるんだ。
        人も増える。村も増える。そこへこの塩を・・・」
 
 
          見張り小屋。
 
シュリ  「そうなんだ。シロクンヌ達とは、出会ったばかりなんだね。
      あたし、ずっと前からの知り合いだと思ってた。
      あたしにもねえ、弟がいるんだよ。」
レンザ  「へえ、一緒に住んでるのか?」
シュリ  「まさか。もう村にはいないの。
      去年、出て行った切り。そういう男の人、結構多いんだよ。」
レンザ  「うん。コノカミから、ちょっと聞いた。
      ん?こら!なに覗いてるんだ!」
サチ  「キャハハハ、見つかった。」
ミツ  「しくじったー。」
レンザ  「何だおまえ達、顔に変なもん付けて。」
シュリ  「素敵ねえ、それ。」
サチ  「シュリにも1個あげる。これもあげる。」
シュリ  「わあ可愛い!お花の髪飾り!ありがとう!
      レンザ、似合う?」
レンザ  「あ、ああ、似合うよ。」
シュリ  「なによ、気の無い言い方ねえ。」
ミツ  「照れ臭がってるんだー(笑)。」
サチ  「赤くなってるもん。」
レンザ  「うるさい。」
シュリ  「サチ、これはどうやるの?」
サチ  「これは眼木って言ってね、ここを耳に掛けるの。そう。
     この葉っぱ、付けてみる?」
シュリ  「こう?
      レンザ、どう?」
レンザ  「なんか感じが変わった!姉ちゃんじゃないみたいだ。」
シュリ  「アハハ!元々姉ちゃんじゃあ無いよ。」
レンザ  「アハハハ、しまった、変な言い方になってたよな?」
サチ  「キャハハ、面白い。」
ミツ  「アハハハ、ねえサチ、怒りん坊のレンザが笑ったよ。」
サチ  「うん、良かったね!」
 
 
 
 
      本年もよろしくお願いいたします。
      今後は三日に一度くらいのペースでの投稿となると思います。
      多少、不定期になるかも知れません。
 
登場人物 シロクン 28歳 タビンド 特産物を遠方の村々に運ぶ シロのイエのクンヌ  ササヒコ 43歳 ウルシ村のリーダー  ムマヂカリ 26歳 ヒゲの大男   ヤッホ 22歳 ササヒコの息子   ハギ 24歳 ヤスが得意  タホ 4歳 ヤッホとヤシムの息子 ヤシムと暮らしている  タヂカリ 6歳 ムマヂカリとスサラの息子  クマジイ 63歳 長老だが・・・  テイトンポ 40歳 シロクンヌの師匠 その道の達人   クズハ 39歳 ハギとハニサの母親   タマ 35歳 料理長  アコ 20歳 男勝り テイトンポに弟子入り   ヤシム 24歳 タホの母親  ハニサ 17歳 土器作りの名人 シロクンヌの宿   スサラ 25歳 ムマヂカリの奥さん  ヌリホツマ 55歳 漆塗り名人 巫女 本名はスス  ホムラ 犬 ムマヂカリが可愛がっている      
追加アシヒコ 56歳 アユ村のリーダー  マグラ 27歳 アユ村の若者  カタグラ 24歳 マグラの弟  フクホ 50歳 アシヒコの奥さん  マユ 25歳 アユ村の娘  ソマユ  19歳 マユの妹  サチ 12歳 孤児 シロクンヌの娘となる アヤクンヌ      エミヌ 18歳  オジヌ 16歳 エミヌの弟  カイヌ 14歳 オジヌの弟    モリヒコ シカ村のカミ  サラ 17歳 スサラの妹 ハギとトツギとなる ヌリホツマの弟子  ナクモ 18歳 エミヌの友人  シオラム 41歳 ササヒコのすぐ下の弟 塩作りの加勢のためシオ村で暮らす 5年に一度、里帰りする  ナジオ 20歳 シオラムの息子 シオ村生まれ  タカジョウ 23歳 ワシ使い  ホコラ 洞窟暮らし 哲人  シップ オオイヌワシ タカジョウが飼っている  エニ 38歳 エミヌ姉弟の母   カヤ アマカミの使者  シラク 北のミヤコのシロのムロヤの責任者  マシベ フジのシロの里の者 ヲウミのシロの村との連絡係り  トモ フジのシロの里の者  イナ 30歳 シロクンヌの姉弟子 杖の達人  コヨウ 15歳 タカジョウの妹  ゴン 洞窟で飼われている仔犬  ミツ 11歳 アユ村の少女  カザヤ 24歳 アユ村の若者 カタグラの友人  テミユ 22歳 カザヤの妹  タガオ 32歳 ミツの父親 目がみえない  ゾキ 14歳 オロチの姉 シップウの攻撃で背中に傷を負う オロチ 12歳 ゾキの弟 シップウの攻撃で顔に傷を負う  イワジイ 60歳 黒切りの里の山師 ヌリホツマの兄  シロイブキ 28歳 シロクンヌの兄弟
追加(旅編)スズヒコ 65歳 リンドウ村のリーダー  タジロ 21歳 リンドウ村の若者  セリ 11歳 リンドウ村の娘  レンザ 14歳 道中で出会った少年。足の骨が折れていた。  レン レンザが飼っているオオカミ  シシヒコ 35歳 シシガミ村のカミ  サタキ 25歳 シシガミ村の青年  ミワ 33歳 シシヒコの奥さん。  シュリ 21歳 シシガミ村の娘。レンザの宿。

   

用語説明 ムロヤ=竪穴住居  大ムロヤ=大型竪穴建物  カミ=村のリーダー  コノカミ=この村のリーダー           グリッコ=どんぐりクッキー  黒切り=黒曜石  神坐=石棒(男性器を模した磨製石器)  塩渡り=海辺の村が作った塩を山の村に運ぶ塩街道があった。ウルシ村から東にシカ村→アマゴ村・・・七つ目がシオ村  御山=おやま。ウルシ村の広場から見える、高大な山々  コタチ山=御山連峰最高峰  トコヨクニ=日本  蚊遣りトンボ=虫除けオニヤンマ ここではオニヤンマの遺骸に竹ひごを刺し、竹ひごをヘアバンドで頭部に固定する  トツギ=一夫一婦の結婚  眼木=めぎ 眼鏡フレーム 曲げ木工房で作っている  クンヌ=イエの頭領  吊り寝=ハンモック  一本皿=長い丸太を半分に割いて作ったテーブル。一本の木から2本取れるが、一本皿と呼ばれている。  一回し=長さの単位 70㎝  半回し=35㎝ 縄文尺とも呼ばれる。  カラミツブテ・カブテ=狩りの道具。コブシ大の二つの石を紐でつなげた物。  ボウボウ=樹皮ラッパ 法螺貝よりも高い音が出る。  薙ぎ倒しの牙・薙ぎ倒しイノシシの牙=ナウマン象の象牙  バンドリ=背負子などを背負った時に、肩と背中を保護する当て物。衣服の上からバンドリを装着し、それから背負子を着ける。  黒石糊アスファルト

 

 

東を目指したホモサピエンス

 

 

新年あけましておめでとうございます。

ここで雑文を一つ。

 

現生人類は、ホモサピエンスです。

ホモサピエンスの誕生地はアフリカだと言う事は確定的ですが、それがいつかと言う事になると諸説あって、30万年前~10万年前と幅があります。
そのホモサピエンスがアフリカを出て、全世界に移動する事になります。
ここで新年を迎えるにあたり、私達の祖先としての日本人の誕生について考えてみたいと思います。
なおこの文章は、海部陽介著 『サピエンス 日本上陸』を基底に私の考えを述べたものです。
 
ヨーロッパ南部に移動したホモサピエンスクロマニヨン人と呼ばれ、ラスコーやアルタミラで洞窟壁画を残しました。
それとは別のグループが東に向かうのですが、そのホモサピエンスがいつ日本に到達したかと言えば、およそ3万8千年前だとされています。
そう考えられる理由は、それ以前の遺跡は極めて少なく、それ以降に遺跡数が激増するからです。
 
3万8千年前、それは氷期ですから、北アメリカ北部、ヨーロッパ北部、グリーンランドは分厚い氷床におおわれていました。
結果、海面は今よりも80m低かったようです。

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『サピエンス 日本上陸』より 4万~3万年前頃の東アジア。薄い緑色部分が当時の陸地。
その頃の日本はと言えば、北海道はサハリンを介して大陸と地続きでした。
古北海道半島(古サハリンー北海道ークリル半島)と呼ばれます。
そして瀬戸内海は浅いので、完全に陸化していました。
本州、四国、九州が地続きで、古本州島と呼ばれます。
つまり古本州島は、周りを海に囲まれた、完全なる島でした。
 
YOU-TUBEを観ていると、当時は本州と北海道が地続きだったと言う人が何人もいて驚くのですが、彼らはブラキストン線の存在をどう説明するのでしょうか?
青森にエゾモモンガ、エゾリス、エゾシマリス、クロテン、ナキウサギがいないのはなぜですか?
函館にはいます。
函館にニホンザル、ムササビ、ニホンカモシカ、ニホンリス、ニホンモモンガがいないのはなぜですか?
青森にはいます。
このように津軽海峡を挟んで、動物相に明確な違いがあるのです。
数万年前というレベルで地続きであったのなら、こんな現象は起きないでしょう?
要するに、最初に古本州島の地に立ったホモサピエンスは、渡航者だったのです。
その後も古本州島は、大陸と地続きになってはいません。
対馬海峡津軽海峡は、常に存在していました。
 
そして驚くべき事に、3万8千年前の遺跡から、刃部磨製石斧と神津島産黒曜石が出ているのです。
神津島伊豆七島の一つで、当時でも古本州島との間には40kmの海が存在していました。
そしてその海には、黒潮の分流が流れていた可能性も無視できません。
彼らは太平洋の荒波を越え、神津島(当時は恩馳島おんばせじまと陸続き)に上陸し、また戻って来ているのです。
この黒曜石は、人類最古の往復渡航の証拠であって、島間で物の移動があった証拠は、他地域では2万年前までしかさかのぼれないそうです。
古本州島に到達したホモサピエンスは、それだけでは飽き足らず、さらに東を目指し海を渡ったのでしょう。
 
さてそこで問題にしたいのが、刃部磨製石斧(じんぶませいせきふ)の存在です。
刃部磨製石斧というのは、要するに刃の部分だけを砥石で研いだ石斧ですね。
用途としては、斧(おの)、鑿(のみ)、楔(くさび)、手斧(ちょうな)などとして使われます。
あるいは、穴掘り器として使われた可能性もありますね。
磨製石器として、分類される物です。
打製石器は猿でも作りますが、磨製石器ホモサピエンスが初めて作った物です。
 
打製石器しかない時代を旧石器時代磨製石器のある時代を新石器時代と呼ぶのですが、日本では、3万8千年前の遺跡から、磨製石器が出土しています。
それも一個や二個ではありません。
3万8千年前~3万5千年前の遺跡から、9百個ほども出ているようです。
これは、もの凄い事なのです。
世界的に見ると、新石器時代への移行は約1万年前なのですから。
中国最古の磨製石器は、約1万5千年前の物。
韓国最古の磨製石器は、約7千年前の物。
日本の古さが分かりますよね?
これの意味するところは、当時の古本州島と大陸とでは、木材加工技術に大きな開きがあったと言う事です。
遺物として出土してはいませんが、当時の古本州島は、人類最先端の木工製品であふれていたはずです。
それは木製の道具だったかも知れないし、木を使った、快適な居住設備だったかも知れない。
 
ちなみに、日本と並んで古い物が出ているのがオーストラリアです。
どちらも渡航地ですね。
これはもしかすると、刃部磨製石斧を持った者が渡航出来た、のかも知れませんよね?
 
本来、刃部磨製石斧は道具であって目的物ではありません。
刃部磨製石斧を発明した人は、それを作りたかったのではなく、何かを作りたいがためにそれを作ったのです。
その目的物とは何かと言えば、私は舟ではないかと推測しています。
丸木舟ですね。
つまり・・・
海のかなたに漕ぎ出したいと思う者がいた。
筏(いかだ)でやってみたが、無理だった。
葦舟(あしぶね)でも無理だった。
別の舟が必要だ。
大木を伐り倒し、その木をくりぬいたら舟になりそうだが、打製石器ではうまく行かない。
そこで考え出されたのが、刃部磨製石斧だったのではないかと思うのです。
現在は黄海の底に沈んでいる当時の陸地。
そこには日本よりも古い刃部磨製石斧が眠っているかも知れません。
 
このように見て来た時に、アフリカを出てアジアの東に到達したホモサピエンスの中で、極めて優秀な一団だけが、古本州島に渡れたのではないかと私は思うのです。
論理的に物事を考え、ひらめきを持ち、勇敢に行動を起こす。
そんな男女が、最初の日本人でした。
 
事実それに続く日本列島人は非常に優秀です。
世界最古の石鏃(せきぞく 石の矢じり)は日本で出土しています。
弓矢を発明したのも日本列島人である可能性が高いのです。
弓矢とは言うまでもなく、弓という道具と矢という道具の組み合わせです。
これは、標的に向かって押すのではなく、引くのです。
こういう発想はなかなか難しいのではないでしょうか?
インカやアステカに、弓はありませんでした。
その他にも、日本には世界最古がいろいろとあります。
世界最古の落とし穴(狩猟用)、釣針、漆など、日本列島人の発明品はたくさんあります。
縄文人はヒスイに穴をあけ、海水から塩を取り、回転式離頭銛(りとうもり)を発明しました。
非常に論理的思考にすぐれた人達です。
弥生時代に大勢の大陸人が渡って来ましたが、彼らは伝達者に過ぎません。
コメ作や金属器は、彼らの祖先が発明した訳ではないでしょう?
 
ではなぜ、大陸にいた優秀なホモサピエンスの一団は、海に漕ぎたしたのか?
争いに負けたからだと言う人がいますが、争いがあったとして、はたして彼らが負けたでしょうか?
私は、彼らが海を渡った理由、それは東を目指したのだと思っています。
太陽が産まれる所を知りたかったのだと思っています。
太陽の誕生地を目指して突き進んだホモサピエンスが最後に到達した地、それが日本です。
そう考えると、『日本』という国号は、この時から決まっていたようなものですよね。
 
 
 
 
本年が、良い年でありますように。 
スメラギ イヤサカ。