縄文GoGo

5000年前の中部高地の物語

2021-07-06から1日間の記事一覧

お祭り前日 第77話 13日目①

朝の広場。祭りの前日。 ササヒコ 「紹介する。わしの下の下の弟の息子達だ。 オジヌが16歳。 カイヌが14歳。 シロクンヌ、今日一日、助手に使ってくれ。」 エミヌ 「叔父さーん。タマが、私も行っていいって。 シロクンヌ、お話しするの初めてよね。私…

サルスベリの移植 78話 13日目②

飛び石のそばの川。 アコ 「あ! 先客がいた!」 シロクンヌ 「なんだ、アコも行水か?」 アコ 「汗かいたからね。入っていいかい?」 シロクンヌ 「ああ、気持ちいいぞ。 おれは粘土を掘ってきてな。 結構、難儀だったよ。」 アコ 「肩を揉んでやろうか?」…

次々と来客が 第79話 13日目③

曲げ木工房。 モリヒコ(男。シカ村のカミ) 「テイトンポー。テイトンポだろー。何をしておるのだー?」 テイトンポ 「おお! カミか。」 モリヒコ 「狼ではないぞ。」 テイトンポ 「相変わらず詰まらんシャレを言いおるな。」 モリヒコ 「ちっとも帰ってきや…

さあ、みんなで、スッポ抜き! 第80話 13日目④

大ムロヤ。 モリヒコ 「サチと言うのか。眼木(めぎ)を外すと、こんなにかわいらしい娘なのか。 眼木を掛けると、妖しい炎の精霊だ。 ササヒコ。この眼木、どこで手に入る?」 ササヒコ 「下で見たであろう。テイトンポの工房で、作っておる。」 モリヒコ …

にぎやかな夕食 第81話 13日目⑤

夕食の広場。 クマジイとヤッホが、目出たい踊りを踊っている。 シカ村の女達は、全員、眼木を掛けている。 ササヒコ 「みんな聞いてくれ。 シカ村から応援の衆が駆け付けてくれた。 夕食の後、明日の食事の下ごしらえを手伝ってくれる。 馴染みの顔も多いこ…

沈んだ村談義、再び 第82話 13日目⑥

夕食の広場。続き。 シロクンヌ 「サチ、アユ村の働きかけで、周りの村が合同で、沈んだ村の祭りをしてくれる。 ただ、今のままでは、どんな祭りをすればいいのか、分からないらしい。 これは、おまえにとっても大事なことだ。 地元の村の祭りが、一番の供養…

サチ、家伝を語る① 第83話 13日目⑦

夕食の広場。続き。 シロクンヌ 「ここでヌリホツマに聞いておきたい。 サチを見て、何か見えるか?」 ヌリホツマ 「見えはするぞよ。 サチは皆の者とは、違う。」 シロクンヌ 「不吉なものが、何か見えるか?」 ヌリホツマ 「不吉なもの? どういう意味じゃ…

サチ、家伝を語る② 第84話 13日目⑧

夕食の広場。続き。 サチ 「父さんは、村はあっという間に沈んだと言いましたが、そこが少し違います。 最初の地震では沈まなかった。 でも小屋は崩れて、地面もドロドロになってしまいました。 アヤをはじめ、20人の女達は全員、泥で身動きが取れなくなっ…

イワナの夜突き① 第85話 13日目⑨

いろり屋。女衆が下ごしらえの真っ只中だ。 タマ 「そんな話だったのかい。 しゃべった事もない女達を、身を挺して助けた男達じゃないか。 なんでそんな立派な男達に、殺し合いなんて濡れ衣をおっかぶらせたんだろうね?」 クズハ 「不思議よねえ。」 ヤシム…

イワナの夜突き② 第86話 13日目⑩

ビク 獲った魚を入れるカゴ 作者筆(照)ヤス 刺突具は鹿の骨製。持ち手部分の滑り止めは桜の皮。縄文人のヤスは一本刺しだった(と思う)。 ダケカンバの樹皮の灯火 左側に火をつけて川面を照らす 河原の基地~飛び石の川。 ハニサ 「ここに脱いだ履物を並…

イワナの夜突き③~それぞれの夜 第87話 13日目⑪

河原の基地 マグラ 「みんな戻ったのか?」 ハギ 「ヤッホ、エミヌ組がまだだな。」 カタグラ 「女神、ヤッホのビクってどれかな?」 ハニサ 「これ。この二つ。」 カタグラ 「ビクは全部で30で、今ヤッホが一個持ってるんだな。 って事は、ヤッホは3個。…

祭りの朝 第88話 14日目①

明り壺の祭り当日。朝の広場。 テイトンポ 「シロクンヌ、見てみろ!」 シロクンヌ 「ああ、テイトンポ、おはよう。お! オシャレしてるな(笑)。」 テイトンポ 「服もそうだが、これこれ。」 シロクンヌ 「草履か!」 ハニサ 「母さんが編んだんだね。」 テ…

サラ持参の生物 第89話 14日目②

祈りの丘。祭りの準備。 ムマヂカリ 「この囲い筒並べというのも、結構気を使うよな。 うっかり蹴倒したら割れてしまうかも知れんからな。 ・・・囲い筒の中の灯りは、ヌリホツマの漆ロウ。 明り壺にはエゴマ油。 両方とも、他の村では貴重品だぞ。 それを惜…

祈りの丘、よそおう 第90話 14日目③

祈りの丘。サルスベリの樹の周り。 クマジイは脚立の上で、サルスベリの枝から枝に渡すように磨き木を組み、麻ひもで縛っている。 光るハニサはシロクンヌに肩車されて、粘土でぐい呑みほどの容器を作り、それを磨き木や枝にに貼りつけていっている。 シロク…

5年ぶりの里帰り 第91話 14日目④

いろり屋 ヤッホ 「すげえスッポンだな。 カワエビとサワガニ、結構いたよ。」 タマ 「ほんとだねえ! それだけいればカリカリ焼きができるね。」 ヤッホ 「じゃあおれは、祈りの丘に行くからね。」 シオラム(41歳・男) 「ヤッホか!立派な若者になりおった…

アコ、おそるべし。 第92話 14日目⑤

サルスベリの樹。続き。 テイトンポ 「両方、一対一の勝負だ。 背中合わせとは、背中合わせになって、地面に尻をついて座る。 そして足を伸ばす。 その体勢から始める。 合図で動き出し、先に相手の両肩を地面に付けた方が勝ちだ。 背中取りは、向かい合って…

役者が出そろう 第93話 14日目⑥

サルスベリの樹。続き。 ヤシム 「アコ。ハニサが可哀そうじゃない。 ちゃんと説明してあげなよ。 シロクンヌはそんな男じゃないはずだよ。」 アコ 「そうか、ハニサ、ごめんよ。 ハニサ。シロクンヌとあたしは、今は男同士の付き合いなんだよ。 二人ともテ…

縄文人、歌を詠む 第94話 14日目⑦

広場。 ムマヂカリ 「ハニサ、その光ってるの、何とかならんのか?」 ハニサ 「まだ、自分で調整できないの。」 ムマヂカリ 「みんながホウケの顔になって、こっちを見ているぞ。」 ハニサ 「ホントだね。何でだろう。」 ムマヂカリ 「・・・・・」 大ムロヤ…

アコとタカジョウ 第95話 14日目⑧

サルスベリの樹。続き。 アコ 「知らない人もいるよね。 紹介するよ。この人は、タカジョウ。 あたしが産んだ子の、お父さん。」 カタグラ 「アコには子供がいるのか?」 アコ 「いたんだけど、病で死なせちゃったの。」 カタグラ 「そうだったのか。」 アコ…

さあ準備が整った 第96話 14日目⑨

供宴の場。 ムマヂカリ 「囲炉裏は三ヶ所。一列に丘を囲むように、10歩の距離をあける。 真ん中の囲炉裏の村側にシロクンヌの机だ。 種熾きはあそこにある。すぐに火を熾して、石を焼くぞ。」 シロクンヌ 「サルスベリの作業も、もう終わる。 そのあと希望…

明り壺の祭り 第97話 14日目⑩

祈りの丘。 ササヒコ 「ようこそウルシ村へ。 ようこそ祈りの丘へ。 もうすぐ陽が暮れる。 さあ、みんなで、この丘を埋め尽くす、囲い筒の中の漆ロウに灯をともそう。 火付け棒なら、そこにたくさん用意した。 遠方から来られた方も、おいでだろう。 火付け…

光の丘の散策 第98話 14日目⑪

祈りの丘。 ハニサ 「二人で丘を散歩しよう!」 シロクンヌ 「綺麗だなー! まずは灯りの樹の近くまで行こうか。」 マグラ 「タホって言うのか。可愛いじゃないか。おじちゃんが抱っこしてやるぞ。」 ヤシム 「すごく綺麗ね。灯りの中を歩くのって素敵。」 …

光の丘① 第99話 14日目⑫

祈りの丘。 ヤッホ 「アニキー、場所取りしたぜー。」 シロクンヌ 「ここで食うってことか?」 ヤッホ 「アニキは知らないだろうな。太鼓が鳴ったら、囲い筒は移動させてもいいんだ。 ただ、丘で食べる時は、一人御座半分、 二人で御座一枚の広さっていうこ…

光の丘② 第100話 14日目⑬

祈りの丘。続き。 アコ 「ねえ、タカジョウ、命の恩人って、どういう事なの?」 シロクンヌ 「それはおれも、気になっていた。 おれの父親が、何かをしたのか?」 ハニサ 「何の話?」 アコ 「お祭りの準備をしてる時、あたしが紹介したんだよ。 タカジョウ…

光の丘③ 第101話 14日目⑭

祈りの丘。続き。 テイトンポ 「どうする? まだ聞きたいか?」 クマジイ 「当然じゃ!」 ヤッホ 「まだ食い足りないから、供宴の場に行かないか?」 ハギ 「そうしよう。ここまで聞いて、これで終わりってのは無いな。」 ヌリホツマ 「ハタレの事も、聞きた…

光の丘④ 第102話 14日目⑮

供宴の場。続き。 アコ 「さっき、旅に出るって言ってたでしょう?行き先は?」 タカジョウ 「特に決めてはいない。 が、シップウと共にだから、行かれぬ所も多い。 シップウを見ると、カモやガン(雁)がいなくなる。 すると猟師に迷惑が掛るからな。」 ハニ…

スッポン鍋 第103話 14日目⑯

供宴の場。続き。 ササヒコ 「こんな隅っこにおったのか。探しておったのだぞ。今年の祭りは大成功だ。 クマジイ、ハニサ、シロクンヌ、テイトンポ、褒美は何がいい? タカジョウも一緒か。たくさん差し入れしてくれて、有難うな。」 タマ 「コノカミ、随分…

祭りが終わり・・・ 第104話 14日目⑰

ハニサのムロヤ。 ハニサ 「カタグラの踊り、本当に面白かったね。」 シロクンヌ 「大笑いしたな。なんであいつは、あんなに上手に尻が出せるんだろうな?」 ハニサ 「手を使ってないよね?」 シロクンヌ 「使ってないと思うぞ。すました顔で踊ってて、いつ…

第105話 15日目①

祭りの翌日。朝の広場。 シロクンヌ 「今日は祭りの後片付けがあるんだよな?」 ハニサ 「そう。でも起き出して来るのは、みんな遅いよ。 もう一泊するお客さんも多いし。」 サチ 「おはよう。昨日は楽しかったね。 お姉ちゃんと父さん、お揃いの首飾りだ。…

106話 15日目②

朝の広場。続き。 シロクンヌ 「テイトンポ、出発するのか?」 テイトンポ 「ああ、シカ村の衆はもう一泊するようだが、アコと二人で出立する。」 ハニサ 「母さんは?」 アコ 「まだ、死んだように眠ってた。」 ハニサ 「・・・・・」 シオラム 「テイトン…